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    第3話 『麻貴の事情』

《2》

 多美子が一瞬「いらっ」とした表情をしたのを、麻貴は敏感に感じ取った。そしてやはり、この場は自分の恋話にもって行こうと思った。

「あの、私も、実はちょっと悩んでるんです」

 そこへ、有紗がお皿を運んできた。白いぽってりしたお皿に、切り分けられた肉と、クレソンとマッシュポテト、粒マスタード、トリュフ塩、が添えられたシンプルだけどこの上ない組み合わせだ。

「ああ、美味しそう」

 いつの間にか赤ワインはグラスに注がれており、4人の女たちはテーブルの上のマリアージュに美味しいため息をついた。

「たまらないですね」

「ん~」

「あ~、美味しい」

「うまい」

 ひとしきり食べたところで、麻貴は話し始めた。

「あの私ね、好きな人がいるんですけど、彼氏なのか、なんなのか、よくわからなくて」

「それはどういうこと?」

 多美子がひと口ワインを飲んで、隣の麻貴を振り返るように見た。

 見つめられた麻貴は、その目を見ずに、最後のひと切れを残し、お皿の上にいったんフォークとナイフを置いて話し始めた。

「あの、最初はファンになったというか。会社員しながら、ピアニストもやっている人なんです。それで、夜と土日は音楽をやっているから、本当に忙しいんですよ。3ヶ月位前に付き合ってくださいと私から言って、そんなことになったんですけど、でもこの先、こんなんでいいのかな、って。…私、41だし、彼は34だし」

「年はちょうどいいんじゃないの」

 多美子はわりと真顔で言った。

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