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    第10回:堀田龍志さん
    (株式会社日本香堂 調香師)

メロディや絵のように。イメージを「香り」にする

 では実際に調香とはどういうふうになされていくのでしょうか。堀田さんによると、最初にコンセプトから入る場合と、ある原料からインスパイアされる場合などがあるようです。

「先にテーマをもらい、そのコンセプト… ビジュアル、単語、パッケージの色や形などから、香りのイメージを作り上げるという作り方。あるいは、ある原料の香りにインスパイアされて、それをどういうふうに香らせるかという作り方があります。たとえば、天然の花山椒の香りが素晴らしいというときに、その香りを活かした新しい香りをイメージして調香をするわけです」

 時には「どこかの場所」や「経験したこと」をテーマに調香されることもあります。

「ずいぶん昔ですが『北海道の大地を車で走っているときに、一面にスイカ畑が広がっていて感動した。そのイメージで作ってください』と言われたことがあります。その情景を想像し、スイカの香りのイメージのある香料を使いながら、藁の香り、土の香りのイメージの有る香料と組み合わせて作り上げました」

実際にスイカの香りのイメージのある原料の香りを嗅がせていただきました。みずみずしく、爽やかに甘い、まさにスイカの香りでした。

高熱に耐えられる香りを求めて

 日本香堂では、お線香やお香の香りを主に調香している堀田さん。化粧品と違うのは、火による高い熱の中で香りを立たせなくてはならないということ。

「原料香料そのものをお線香に賦香して、実際に燃やしてみて、高い熱の中での香りの状態をチェックしながら作っています。日本香堂は多くの高価な天然香料を使っていて、使う原料には特に気をつかって作って来ています。品質の良さで他社との差別化を図って来ているとも言えますね。そういうところを引き継ぎながら新しい香りを作っていきたいですね」。

日本のお香の1400年の歴史は偉大な財産。
2020年に世界に誇れる香りを

 堀田さんがこれから作ってみたい香りは、2020年の東京オリンピックへと夢をつなぎます。

「海外からたくさんの方が来られたときに、これこそ日本の香りだと思って買って頂けるものを作ってみたいですね。日本の香り文化の1400年にも及ぶ歴史は偉大な財産。ヨーロッパの近代香水は15~16世紀に始まったものですから意外に浅い。この素晴らしい日本の香り文化を表現するような商品の開発に携われたら幸せです」。

 オリンピックの開会式にお香がたかれたら素敵だな、と、ふと空想してしまいました。香りと向き合ってこられた堀田さん自身の熱い歴史も、新しいお香を気高く香らせる気がします。

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取材・文 森 綾
http://moriaya.jimdo.com/
大阪府生まれ。神戸女学院大学卒業。
スポニチ大阪文化部記者、FM802編成部を経てライターに。92年以来、音楽誌、女性誌、新聞、ウエブなど幅広く著述、著名人のべ2000人以上のインタビュー歴をもつ。
著書などはこちら

撮影 ヒダキトモコ
http://hidaki.weebly.com

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