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    第14回:ドミニク・アリソンさん
    (株式会社ESTEBAN代表取締役社長)

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日本香堂ホールディングスの一社であり、1979年創業のフランスを代表するパフューム・ブランド、ESTEBAN社の代表、ドミニク・アリソン氏が、マーケティングディレクターのヴィルジニー・プリュボーさんとともに、来日されました。
長年続くそのブランドのポリシーは「質へのこだわり」。それを守り、作り続ける歴史と革新について、熱く語っていただきました。

ブランドのDNAは質へのこだわり

 ESTEBANの本社は南仏・モンペリエ。1979年に創業して以来、パリを中心に香りにはこだわりのある人たちに愛されてきました。ドミニク・アリソンさんは、このブランドの成功の理由をこんなふうに捉えています。

「ブランドの成功には様々な理由があります。まずひとつめは、質へのこだわりでしょう。日本は商品のクオリティーに関して徹底的にこだわる国だと感じています。日本香堂という会社との共通点もそこにあると思いますし、長らくご縁が続いている理由もそこにあると思います」

 またその心意気とも言える質へのこだわりが、自然と他ブランドとの差別化にも役立っているといいます。

「質へのこだわりはブランドのDNAに根ざしていると言ってもよいでしょう。ひとつの香りをつくるために、8~12ヶ月をかけ、80から120の試作を重ねるほどです。クオリティの追求、香りのシグネチャー、スタイルの独創性。香りの素晴らしさだけではなく、そのビジュアルや触れても美しいスタイル。そこまでひとつの香りにこだわることで、他のブランドにはないものができるのです」。

モンペリエが香りを育てた歴史と理由

 南仏・モンペリエは、パリからTGVで3時間半。地中海に近く、穏やかな美しい街。世界最古と言われる医大があり、あのノストラダムスも在籍していたそうです。哲学者のオーギュスト・コント、作家のポール・ヴァレリー、歌手のジュリエット・グレコらを輩出しています。現在もフランス人が住んでみたい街の上位にランキングされるよう。

 この街で香りの文化が育った理由について、アリソンさんに伺いました。

「フランスは日本と同じように、独自のライフスタイルが培われてきました。五感のなかでも嗅覚を大事にしていて、料理やワインを味わうのも、嗅覚から始めます。一方で、もともと、フランスでハーブを育て始めたのは神父たちでした。最も盛んになったのは、流行病が問題になったことです。そこで、神父たちが育てていたハーブが治療薬としてバスタブにいれられるようになったのです。そういったハーブの薬効の研究が始められたのがモンペリエだったのです」

 そこにはモンペリエに世界最古の医大が生まれたということと、関係がありそうです。もっとも、原料となる香りのある植物が多く栽培されていたのはグラースでした。

「16世紀に手袋の皮革の香りを覆い隠すために花の香りが使われたのが、グラースです。それが香水となり、その当時は手袋製造業と香水製造業を同時に行っていたようです。グラースは花や香りのある植物の栽培が盛んでした。同じ16世紀、カテリーナ・ディ・メディチがフランスのアンリ2世に嫁いだ際、香水をもたらし、貴族、高級娼婦、庶民へと広がっていったと言われています」

 健康とエレガンス。どちらかというと、モンペリエでの香りは健康からスタートしていたのかもしれません。

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