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    第1回 干場義雅さん(ファッション・ディレクター)

清潔な香り、は日本人の永遠の好み

干場義雅さん③

日本人は総じて清潔好き。風呂上がりの匂いが好きだという感覚も「香り」の好みに影響しているかもしれない。

「日本人は国民性としてもともとすごく清潔好きですよね。だから無味無臭な人のほうが多いですね。海外の人のほうがすごく清潔好き、というわけじゃない。
 日本人のもともとの文化で“体を清める”っていう文化もありますよね。神社などに参拝するときも、今は略式で手だけ洗ってという感じだけですけど、神様の前に行くときには身を清める、っていう発想がある。もともときれい好きなんですね」

その清潔好きを根底にしつつ、香りのトレンドは移り変わっていく。

「時代はありますね。ムスクみたいな香りが男の香りだと言われていた時代は、たまたまバリエーションとしてそういうのしかなかったのかも。今はバリエーション、選択肢が増えた。あえて男臭いムスクみたいな香りをつけなくてよくなりました。もっと自由に楽しんでいいと思います」。

地中海。船のなかでもてなしてくれた爽やかな香り

干場義雅さん④

イタリアなどの海外ブランドのトップのライフスタイルには、ファッションとともに最上級のセンスがある。干場さんは何度かそんなセレブリティ宅に呼ばれて遊びに行っている。

「トッズという、ドライビングシューズで世界的に有名な、イタリアのラグジュアリーブランドがあるんですけど……。そこの会長が、毎年、イタリアにジャーナリストを何人か呼ぶんです。僕も3回ぐらい呼んでいただいていまして……。カプリ島に家があるので、そこでご飯を食べたり、地中海をヨットの上で過ごしたりして、3〜4日過ごすんです。その船の中のお部屋が完璧にしつらえられていて。入った瞬間にものすごく良い香りがしたんです。人を招くときに最高にいい香りでもてなすんです。船の中にまで、そんないい香りがするんだと感動しましたね。地中海のレモンと、甘さや爽やかさもあって。なんとも言えない香りだったんです。思わず、「これ何の香りですか?」と聞いてしまったくらい。これはルームフレグランスの香りよ!と言われ、帰って早速調べました。
ライフスタイルが豊かなんですよね〜。イタリア人だからというのもあるけど。五感を刺激して人生を豊かにするテクニックの最たるものだなと思いました。暮らし方が上手ですね」

人を香りでもてなす。そんなことができてこそ、一流の人たちのおもてなし。

「ごはんを楽しむのと香りを楽しむのは一緒だなと思います。星付きのレストランもいけばガード下の焼き鳥も行きますけど、香りにもそれくらいいろいろあって。でも普段暮らすときにはなるべく優しい香りにしていますけど」

干場さんは空間によって様々な香りを楽しんでいる様子。
実際にオリジナルの香水を作ったこともあるそう。

「5年前ぐらいに、香水を作ったことがあります。『レイヤードフレグランス』というものです。5メートル以内、3メートル以内、30 cm以内で香りを変えてくというコンセプトで、重ねて香りを楽しむというブランドを作ったのです。ひとつのフレグランスじゃなくて、いくつかを混ぜて、つける場所、つける部位によって香りを変えて楽しむ。例えば、動かす手には軽い香り。動かない胸元には、しっかりした香り。その一番いいバランスを探っていくというか。工夫が好きなんですね。トライアンドエラーで自分の香りを見つけていく。例えば、それはみにつける香りだけでなく、空間もできると思います。入り口入ったとき、リビング、書斎、庭、バスルームと変えて行く。生活が豊かになると思うんです。脳の中では、香りを嗅ぎ分ける場所は記憶中枢と隣り合っているそうなんです。18歳の頃につけていた香水を今でも持っていて、使ったりもするんですが……。たまにその香りをかぐと、その頃のことが蘇ってきますからね。最近は、あんまり強い香りはダメになりました。あまり気にならない香りの方が好きです。エルメスの香りは、好きなものが多いですね。そうそう、香りということで言えば、『パフューム』という映画は見ましたか?あれは、面白いですよ。ぜひご覧になってみてください。香りの世界の奥深さを感じ、香りが好きになりますから(笑)」。

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干場義雅プロフィール

ファッションディレクター。スタイルクリニック代表取締役。
1973年、東京都生まれ。雑誌「POPEYE」のモデル、ファッションメーカーでセールスを経験し、雑誌編集者に。
いくつかの男性誌を経て「LEON」創刊メンバーとなり、ちょい不良(ワル)ブームをつくる。2010年に独立し、2012年に株式会社スタイルクリニック設立。現在はメディア出演に加え、ブランドのプロデュースやトークイベントなど多方面で活躍中。
最新刊に『世界のエリートなら誰でも知っている〜お洒落の本質』(PHP研究所)がある。


取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1

撮影 ヒダキトモコ https://hidaki.weebly.com/

2016.4.20 written by 森綾
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