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今かぐわしき人々 第4回 山名裕子さん(臨床心理士)
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    第4回 山名裕子さん(臨床心理士)

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人の心のうちを温かく見つめて癒す、臨床心理士という仕事。山名裕子さんは精神科医のお父様の影響でその仕事を選び、自らの世代の感性も加味しながらカウンセリングを深めています。実は密接な関係のある香りと心理について、また現代人の悩みのひとつである睡眠障害への香りの効果など、すぐに役立つお話を伺いました。

《1》話題の「アンカリング」。嗅覚も利用して

山名裕子さん①

  記憶と嗅覚は密接に結びついています。これにはちゃんとした根拠がありました。

「五感への刺激から記憶までは脳のシナプスがたくさん連なって伝達するのですが、他の感覚に比べ、嗅覚の場合はこのシナプスが少なくてすむのです」

 そしてこの嗅覚を利用してリラックスしたり、ポジティブな感情を呼び覚ましたりする方法を教えてもらいました。

「アンカリング、と言って、五感への刺激によって特定の感情を引き起こすプロセスを作るんです。たとえば元彼の匂いが漂うと、恋愛していたときの感情が蘇ってきたり、青春時代に聴いた曲を聴くと若かったときの元気な気持ちになれたりしませんか。そんなふうに、緊張したときにはこの香りを嗅ぐ、と、香りを決めておく。たとえばハワイが好きな人はココナッツの香りとか」

 山名先生自身は、カウンセリングのスィッチを入れるためにアンカリングを利用しています。

「次のクライアントさんが来る前にサボンの香りをシュッとひと吹き。対人恐怖をもつクライアントさんは「前に人がいた」ということを気にされる場合もありますので、他の人の存在感を消す意味でも。 人の香りって強いですからね」

 普段の生活で、安心したいときに使うのは、バニラやココナッツの香り。

「小学校からの親友がいつもそういう甘い香りをつけているので、安心するのかもしれません」。

ビジネスの交渉には、コーヒーの香りがおすすめ

山名裕子さん②

 個体差のある香りだけではなく、万人に有効なアンカリングもあります。

「仕事の話や交渉をするときはコーヒーの香りがよい、という実験結果があるようです。実際に職場で説教するよりもカフェでコーヒーを飲みながら説教するほうが話を理解できたとか、コスメショップとコーヒーショップに同じように財布を落としておくと、拾ってくれる確率はコーヒーショップのほうが高かったとか」

 実は「コーヒーは飲まない」という人にも、コーヒーの香りは有効だとか。

「相手がコーヒーを飲まなくても、とりあえずコーヒーを出す、というのも案外よいそうですよ」。

 街中にコーヒーショップがどんどん増えているのには、そんな理由もあるのかも。

「そういえばスターバックスコーヒーは『サードプレイス』というポリシーをもっています。自宅、職場の次の、もうひとつの居場所という意味。人生において、 サードプレイスをもつのは幸せの始まり。それが好きな香りで満たされていたら、なお素敵ですね」。

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