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    第11回:三遊亭円楽さん

《3》現場の風を香りにきてもらいたい

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円楽さんには、これからどうしてもやっていきたいことがあります。

「それは自分の実演じゃない部分です。昭和の東京の落語界における負の遺産の整理。というのは、ご存知の方も多いと思いますが、一門の落語協会からの脱退事件なんですよ。六代目圓生師匠が脱退されたでしょう。うちの師匠もそれに準じたわけですよ。苦労なすった。でも圓生師匠が亡くなって40年近くなる。うちの師匠も亡くなって七回忌が過ぎた。で、雪解けの会をつくって、落語協会に戻った人たちとは雪解けをしました。
落語界はひとつにならなきゃダメなの。「各団体どうしで切磋琢磨しなきゃ」って理屈こねてる人もいるけれど、切磋琢磨は個人でやるべきものです。東京の団体をひとつにして、東京と上方に落語協会があって、そこに東西交流会をつくり、そこを頂点としてすべて日本の噺家が同じ団体にいるという状況をつくりたい。まず私たちが東京の協会に戻るなりしてひとつになって。そのほうが寄席も喜びますよ。うちの師匠は「誰が軍門に降るか」と言っていましたが、そうじゃなくて外交なんです。
師匠は孤高でもやっていけたけど、僕は外交の人。全方位外交をやろうと。だから博多でも会を始めたり、東西で5人ずつのユニットをいくつか作ろうとしているし。そのグループで日本全国のネットワークを作ろうと。みんなコンテンツを待ってますから。ただ頼まれて行ったりすると、誰かが同じ様な落語会をやった後だったりするんです。そういう交通整理もしたいんですね。
最後の10年は師匠のやり残したことを整理する。それがセクレタリーとして師匠についた私の最後のご奉公かな、と。」

落語そのものが深く人の心に浸透し、広がっていくためのシステム作り。落語の面白さ、とはなんでしょうか。

「その現場にいて感じられる風の空気感。それが実演の面白さなんですよ。CD聴いたって、DVD見たっていいんだけど、その現場でしゃべっているところで同じ空気を吸ってると違うんです。出来不出来もわかるし「今日はどうしたんだろ」って裏読みもできるし。
その人のもっている芸の香りというか、味だね。落語の場合は香りが味。話すオーラのようなもののなかにそれがあるのかな。僕は客席にいい風を送りたい。風薫るという言葉があるからね。学校には校風があり、うちには家風が、芸事には芸風というものがある。
風はいい香りでないと。
つまり、芸がくさくならないように、ね。

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六代目 三遊亭 円楽(ろくだいめ さんゆうてい えんらく) プロフィール

落語家。円楽一門会所属。
1950年東京都生まれ。
青山学院大学在学中に先代の圓楽の付き人となり、その後、正式に弟子入り。
1981年、真打昇進。
2010年3月1日、初名の三遊亭楽太郎(さんゆうていらくたろう)から師匠の名跡である6代目三遊亭圓楽を襲名。しかし「落語界では旧字体の<圓>の字をよく使うが、常用漢字の<円>で通す」と表明しており「三遊亭円楽」を名乗る。2007年から「博多・天神落語まつり」のプロデュースを手掛け、東西の大物落語家が一堂に介するイベントに成長させている。


取材・文 森 綾
http://moriaya.jimdo.com/
大阪府生まれ。神戸女学院大学卒業。
スポニチ大阪文化部記者、FM802編成部を経てライターに。 92年以来、音楽誌、女性誌、新聞、ウエブなど幅広く著述、著名人のべ2000人以上のインタビュー歴をもつ。
著書などはこちら

撮影 山口宏之


2017.5.8 written by 森綾
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