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今かぐわしき人々 第16回:中江有里さん
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    第16回:中江有里さん

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女優として、また最近はコメンテーターとして。表舞台に出る仕事の一方で、脚本家、エッセイストとして作品を書き続けている中江有里さん。11月には、豊かな読書経験をもとに、ものごころついてから大人になるまでの自らの人生を振り返る『わたしの本棚』を上梓されました。「図書館の匂いが安全地帯」という彼女が、本と気づきの記憶をたどります。

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 年間300冊の本を読むという中江有里さんは、その本の選び方の賢さも目を見張るものがあります。『わたしの本棚』は、彼女が雑誌に連載していたエッセイをまとめたものだそう。

「『今まで出会った本のことを書いてみませんか』と言われて始まった連載で、2年間で24冊を取り上げています。連載のときは思いつくままに書いていて、なんの計画性もなかったのです。でも、編集者が本にするときになんとなく時系列に並べて編んでくれてこういう形になりました。本のことを書くうちにそこで何に気づいたかという自分のことを深く書くことになって、あんまり人に話さないようなことまで書いてしまいましたね」

 冒頭の『家のない子』という本についてのエッセイでは、中江さん自身が小学4年生のときに両親の離婚を経験するというエピソードに驚かされます。

「私は15歳で芸能界に入ったので、両親の離婚の5年後なんですよね。いろんなことがありつつ、仕事して。とにかく混乱している自分の内面をうまく説明できなかった。そういう自分に対するお詫びの気持ちで、今回、いろんな葛藤を言語化したのかもしれません」

 小さな彼女の心が混乱しているとき、本を読むことで、彼女を引っ張っていってくれる「もう一人の大人の私」が登場します。

「大人の私が現れて、こっちへ来なさいと引っ張ってくれる。それで、そのたびに、また前に進むことができた気がします。人がどうやって大人になっていくのかわからないけれど、私には内なる声が聞こえて、それに救われ、導かれた。今、ようやく大人の私と私は同化したのでしょう」

 『わたしの本棚』に登場する24冊の本は、彼女を大人にした24冊とも言えるかもしれません。

「心の本棚のようなものですね。それぞれ、皆さんの心のなかにも、心の本棚があると思います。本ではなくて、そこにあるのは映画かもしれませんけど、それを見たら、当時の自分にプレイバックする、というものがあると思うのです。そんな個人的な本棚がどういうふうに他の人に見られるのかわからないけど、他人のアルバムを見るのって楽しいじゃないですか。そんなふうに覗き見てもらえたら嬉しいです」。

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女優、コメンテーター、書評家、脚本家、エッセイスト。…様々な仕事をする中江さんですが、仕事は「出会うべくして出会っているもの」だと言います。

「人間、カラダはひとつなので、やれることには限界がありますが、仕事は出会いだと思います。必要とされて、可能性を見出してもらっているのだから、できそうだと思ったら引き受けます。できないと思ってしまったら、そこで狭まってしまいますから。苦手意識はあっても、やりたくてできるものでもないし」

 これまでに役柄で演じた技能はバイオリニスト、トライアスロン、手話など。

「だいたい1ヶ月半くらいで、それなりの形に見えるようにはします。ハリウッドのことは知りませんが、日本の場合は、レッスンとしていただける期間はそれくらいなので。仕事だと思うから必死に形を作るのでしょう。その後、また忘れてしまう。ずっとやり続けるものは、基礎からやらないとダメですからね」

 素直で真面目な中江さんの性分がよくわかります。本とも「出会い」だと、彼女は言います。

「本も、出会うべくして出会っているもの。私は困ったとき、行き詰まったときに本屋さんへ行きます。突破口、非常口になってくれるものが本にはある気がするから。これが読みたいと決めているものはネットで探すこともありますが、本屋さんで手にとって、ピンと来るということもありますから。年齢を問わず、一人でいて妙じゃないところって、本屋さん、図書館、病院くらいでしょう(笑)。
子どものときから内向的で一人でいる事が多かったので、図書館の匂いは安全地帯なのです」。

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