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第3回:小泉祐貴子さん・小仲正克社長
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    第3回:小泉祐貴子さん・小仲正克社長

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香りのトレンドはウッディ。その理由を解き明かす!

 日本香堂ホールディングス代表の小仲正克が、会いたい人を迎え、フラットな目線で香りの面白さや、より深い楽しみ方を対話で伝える新連載。
 第1回目のゲストは、株式会社センスケープ・デザインスタジオの代表で、日本でフレグランスの学校「サンキエムソンス ジャポン」も立ち上げられている小泉祐貴子さん。
 Part 3では、香りのトレンドをどう見極めるかを、今のトレンドのウッディを通して見つめます。

自分の鼻を鍛えれば、自分で面白いものを見つけられる時代になってきています(小泉)

小仲 ずっと香りの歴史などを教えられていて、今後の香りの潮流をどう読んでおられますか。今、AIとかジェンダーレスだとか、エシカルな要素、化学品の規制などさまざまな影響を受けているところだと思うんですが。作り手の側からすると、規制の問題はヨーロッパなどでも大きいし。ユーザーサイドからすると、エシカルやジェンダーレスといった流れがあると感じますが。

小泉 新製品にどんなものが出てくるかを見ていると、大きな流れになっているのは、エシカルです。環境に対してブランドがどういう姿勢で取り組んでいるかと言うことなんです。特にフレグランスを作るブランドは必ずと言ってよいほどそれを言うようになってきています。これはまだ続くでしょうし、今後の社会の価値観の一つになってくると思います。香料とフレグランスを通して環境問題に何が言えるかということですね。

小仲 やはりまずエシカルなんですね。ジェンダーレスに関してはいかがでしょう。

小泉 少し前まで、香水は女性もの、男性ものと分けて作られていて、今もそれは王道ではありますが、香水に特化したニッチブランドは、あえてそれを言わないんです。たくさん香りを並べて好きなものを選んでくださいね、と。ターゲットの性別を意識しなくなった結果、ウッディな香りの人気が急上昇したんです。新製品を分析すると、一番多いのがウッディで、次にフローラル。そう言う意味で、マーケットのあり方は変わってきていますね。

小仲 ウッディがトレンドなんですね。

小泉 ウッディは明らかに増えています。そうすると、今度はウッディの中で嗅ぎ分けをちゃんとできるのかということになってくる。そのなかでも個性を持ったものが残るでしょう。スパイスを効かせてキリッと仕上げたものや、レザーのニュアンスを合わせたものも増えています。大手の香料会社の調香師たちも小さいブランドをサポートできるようになってきているので、完成度の高い面白い香りがたくさん登場しています。
 フレグランスを探す側としては、自分の鼻を鍛えれば自分で面白いものを見つけられる時代になってきています。この流れはまだ続くのではないかな。
 次はどうなるか。ウッディの次に何がくるのか楽しみです。

小仲 ウッディがトレンドになっている背景には何があるんですか。

小泉 今のウッディのブームの前にウード(沈香)の香りが世界中で大ヒットしたんです。2015年前後からですが、中東での香水のマーケットが一気に伸びたんですね。中東はそれ以降、大きな市場になっています。中東での人気を皮切りに世界的なウードのブームが来た。でも日本人的には、なかなか嗅ぎづらい香りで。サフランを合わせたウードの香りがグローバルでは人気を博したんですけれど、その重たくオイリーなニュアンスが日本では難しくて。日本ではそれこそスパイスを効かせるとか、もっと爽やかに仕上げたものが嗅ぎやすいんです。そう言う作りのウードは日本でも一部支持されていました。ウードもウッディノートですから、ウードのブームが落ち着いて、次にウード以外のウッディノートの人気が高まり、それぞれの個性をどう表現するかにきています。
 ウッディノートを中心にしたブランドが出てきたりもしています。

小仲 ウードといえば、沈香ですよね。それが売れたのも興味深いですね。なるほどそこからのウッドなんですね。

小泉 お香の沈香は深みのある良い香りですよね。もうひとつの背景はcovid19です。コロナ禍で狭い家に缶詰になっていた人々が大自然を求めたことが背景にあると考えています。また、在宅ワーク中に他人の目を気にせずに自分自身が快適に思う香りを使いたいというニーズが広がった。そのときに、ウッディな香りはやっぱり大自然を感じるんですよ。森の中へ行った時や、キャンプに出掛けても、木の香り漂う大自然に包まれると安心感を感じるし、コロナ禍で簡単に手に入れられなくなっていた大自然を投影することができる。そう言うタイミングもあったと思います。
 同時に自然を感じると言う意味でグリーンもまた勢いが出てきている。
他にもバニラやアンバーを使った、柔らかい甘さに安心感を抱かせるような、そう言う香りにもヒットしているものがあります。
 安心感、とか、大自然を感じさせるということがウッディの人気を支えたのだと思います。

小仲 自分が生活者として旅行に行くと、昔はスパリゾートとか作られたものに興味を覚えましたが、今はグランピングやキャンプやカヌーや釣り、森歩きとか、そう言うものに興味を覚えていますね。自然の安心感を感じると言うのはすごくわかります。

小泉祐貴子さん・小仲正克社長

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