見る、聞く、匂う、味わう、触れる。演技には研ぎ澄まされた五感が不可欠。
「何に琴線が触れるか、というエキササイズをしたことがあります。想像のコップを出現させて、それを触り、匂う。中身を飲む。それをイマジナリーにやるんです。自分で何が必要かを確かめるために。私は目が悪いので、一向にカップの絵が出てこなかった。でも触った瞬間、中身を匂った瞬間、現れたんです。だから、匂う、触る、ということを大事にしています」
役作りをするときも、嗅覚と触感を意識して創り上げるそう。
「この人はこういう香水をつけていると思う香りを持ち歩いたり、気持ちがて、ブレそうになったらそれを嗅ぐんです。その場にいない相手役さんを思う場面などでは、その方が使っている小道具を、その方の思いを巡らせるために触らせてもらったり。演技は、真実に忠実に想像の世界で生きること、ですから」
西洋文化と日本文化。日本人が異国の翻訳劇をするとき、どうしてなじめなさがあるのかにも、こう答えを出します。
「『心を解放する』というのが、日本人にはできないんじゃないかと思うんです。日本語はストレートな物言いが少ない。抑えて抑えて、演じるものが多い。一方で、もともと、ストレートな言語をもっている西洋の人たちがさらに『心を解放する』わけですからね」
日本らしい、という作品でも藤田さんは堂々と演じています。たとえば人気テレビドラマシリーズ『渡る世間は鬼ばかり』。
「長山藍子さんや山岡久乃さん…。すごい役者さんたちのなかで、自由にやらせてもらって。板の上に乗ったら、キャリアも年齢も、ベテランもスターも関係ないんです。遠慮する必要はないと思います。橋田先生の脚本のなかで、老若男女、それぞれが必死に生きている物語でしたから」
それぞれが役になりきっている物語の凄さ。その一役を担う藤田さんの言葉を聞いていても、そこにある熱量の大きさ、人間の匂いが伝わってくるかのようです。
藤田朋子さんには、五感を磨いた人の類まれな存在感が漂っています。
藤田朋子さん公式サイト
https://www.horipro.co.jp/fujitatomoko/
☆東海テレビ/フジテレビ系「おいハンサム!!2」
4月6日~毎週土曜23:40 OA予定
公式サイト https://www.oihandsome.com/
☆藤田朋子ライブシリーズ「chanter et chanter!38」
5月27日(月)
開場 18時半 開演 19時半 @南青山マンダラ
一週間見放題アーカイブ付き配信も実施
詳細(藤田朋子ブログ)https://ameblo.jp/tomoko-fujita/entry-12840880366.html
☆第4回toa-toa公演
小林綾子さんとのユニット 朗読と音楽とおしゃべりの会
7月26日(金) 昼15時/夜19時半 @petitMOA
公式サイト https://www.jewe.la/toa-toa.html
☆毎週水曜夜 インスタLIVE配信中
https://www.instagram.com/chiendormant/
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1
撮影 萩庭桂太
1966年東京都生まれ。
広告、雑誌のカバーを中心にポートレートを得意とする。
写真集に浜崎あゆみの『URA AYU』(ワニブックス)、北乃きい『Free』(講談社)など。
公式ホームページ
https://keitahaginiwa.com