1910年、東京・京橋で紋糊屋として創業した「京源」。二代目からは「紋章上繪師(もんしょううわえし)」となり、その技術は三代目・波戸場承龍さんへと引き継がれました。来年は「京源」の115周年、そして承龍さんが修行を始めて50年の記念すべき年。さらにそれをデジタル時代のものへと繋げている息子の耀鳳さんとともに、現在、東京・京橋のBAG-Brillia Art Gallery-で年を跨ぐ展覧会「縁と線 -京源のキセキ-」が開催されています。
11月から1月にかけて東京・京橋のBAG-Brillia Art Gallery-で開催されている「縁と線 -京源のキセキ-」に、紋章上繪師の波戸場承龍さん、耀鳳さん親子を訪ねました。
この展覧会は京橋で始まった「京源」の115周年を記念するもので、ちょうど承龍さんが弟子入りして50年という節目でもあるのだとか。「円と線」のみで描く家紋の表現技法「紋曼荼羅®」を中心とし、国内外のブランドやアーティストとコラボレーションして生まれた作品が二部構成で一堂に展示されています。
「2018年に個展をやって以来、クライアントワーク中心だったんですが、節目の年でもあり、展覧会を開催したいと思ったんです。20年来お世話になっている方に相談し、候補地を上げていただく中で初代のことを思うと京橋はありがたいなと思っていたところ、BAG-Brillia Art Gallery-の企画監修をされている彫刻の森芸術文化財団の方をご紹介いただきまして。」(承龍)
最初のミーティングで、京橋との縁から大いに話が盛り上がりました。
「これまでの歴史や実績をお話すると、それはぜひ企画展としてやりましょうと。ちょうど年末からスケジュールが空いているので、ぜひ年を跨いで50周年をこの展覧会で迎えましょうと言ってくださったんです」(耀鳳)
しかし開催までにはいくつか難問もありました。それは、企業とのコラボの作品が多く、そのクライアント先に一つずつ許可を取る必要があったのです。
そういえば前回、2019年3月にこのインタビューに登場していただいたときは、Yohji Yamamotoへデザイン提供をされた商品が発表されたときでした。
「ありがたいことに、お声がけした全てのクライアント先からご快諾いただけたことは、本当にありがたかったです」(承龍)。