2年前、スペシャルインタビューの第162回にも登場してもらったヘアメイク職人化け子さん。
当時YouTube登録者数は28万7000人でしたが、今や42万2000人(2025年6月現在)に。動画配信を始めて4年半、5冊目となる新刊『化け子のオキテ。』(主婦と生活社)も出版した化け子さんに、進化したこと、これからやっていきたいことを聞いた。
新刊『化け子のオキテ。』の出版記念パーティーには、まさに動画配信のターゲットである40代以上の女性たち120人以上が集まった。皆、普段より少しオシャレなドレスに身を包み、動画で学んだメイクをこの日こそと決めていた。
黄色いドレス姿のヘアメイク職人・化け子さんは、終始笑顔でひとりひとりと話していた。挨拶では泣きそうになる自らを自分で叱咤して、皆を笑わせた。
YouTubeを始めたのは、自ら「暗黒時代」と呼んでいた離婚後、一番お世話になっていた女優の野際陽子さんが亡くなった後。今から4年半前のことだった。
「貴子さん、さおりさんという仲間を得て、ようやく動画配信をする気持ちになったんですね。
最初は普通のデジカメ1台で撮っていました。もちろん、画像が悪くて、手元がよく見えなかったり。コメント欄には『もっと寄ってくれませんか』とか『わかりづらい』といったクレームがたくさん来ました。私も不慣れで必死でやっていたので『無料で見せているのに、注文が多いなあ』と思ってしまったり。見ている人もイライラ、私もイライラ(笑)」
しかし、名だたるベテラン大女優を納得させてきた彼女のメイクは徐々に視聴者の目を釘付けにしていった。
とりわけ、コンシーラーでシミを消す、マジックのような技には皆飛びついた。
「40代以上の悩みはシミ、シワ、たるみ。そのなかでも、コンシーラーと先端が平らな筆があればあっという間にできるシミ消しは喜ばれました。わーっという反応だった。シミが消えると世の中が明るく見えるくらいに」
コメント欄には何度もシミ消しの動画を見たいという要望が来た。
「私は動画初心者なものだから何もわかっていなくて。最初は、前にやったのがあるからそれを見てくれたらいいのに、と思っていました。違うんですよね。その人は初めてそれを見ているわけ。だから、いつ配信しても初めて見る人の気持ちにならないといけない。説明も飛ばさずに、繰り返し繰り返し、やるべきなんです」
彼女の動画は「化け子語」とでもいうべき、愉快な造語にあふれている。例えば、その人のもつ肌のもともとの色をイエローベース→イエベ、ブルーベース→ブルベ、と言ったりするが、彼女は「オバべ」という言葉をつくった。
「おばさんベース→オバべ。加齢でくすんでいる肌、ということですね。でもね、いまだに『オバべ』ってなんですか、という人もいます。そのとき、ハッと初心に帰るわけです」。