最近では「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」の音楽や、野村萬斎さん演出・主演の「マクベス」の音楽を担当されたりと、その活動が多岐にわたる、尺八演奏家で作曲家の藤原道山さん。邦楽にとどまらず、マリンビストのSINSKEさんとのユニットや、ウィーンフィルの首席奏者たちとの共演も定期的に行われています。ひとつひとつの音を丹精に紡ぎ、華やかに表現する藤原さんに、最近の活動と、香りとの付き合い方を伺いました。
尺八という楽器は竹でできていて、指孔がたった5つ空けられています。このシンプルなつくりの楽器からは想像もできないほどの多彩な音が奏でられる。それは、名手、藤原道山の力あってのものであるのでしょう。藤原さんはこの尺八を琴などの邦楽器だけではなく、西洋の楽器とも絶妙に響き合わせます。
たとえば、同じ木の楽器、マリンバ。
5月28日からはマリンビストのSINSKEさんとのユニットでコンサート・ツアーが始まります。
「SINSKEさんとは今年7年目です。最初のうちは『マリンバはどういうことができるのか』というのがわからなくて、無茶をさせていたかもしれません。(笑)だんだんわかってくると、尺八との音の相性の良さ、SINSKEさんの音楽への向き合い方が僕と合っているなと思うようになりました」
「世界最小オーケストラ」というサブタイトルでクラシックの楽曲の数々も演奏。たった二つの楽器なのに、そのタイトルにふさわしい素晴らしい音の幅と深さが伝わりました。
お二人の息のあったトークも楽しいのですが。
「最近はトークを控えめにしています。というのも、レパートリーが増え、曲のボリュームも大きくなってきていて、まずは楽曲を中心にということになりました。でも、トークが楽しみと言ってくださる方も多いので、小気味よく入れていけるといいですね」
今回のテーマは「花〜FlowerS」。
「花にちなんだ曲を集めました。2年位前に、このコンサート自体も桜前線とともにやろうという話もあったくらい、僕たちのなかに『花』を演奏するイメージがあったのです。さすがに桜前線は時期が不安定すぎるということで却下されましたが(笑)」
二人が咲かせる今年の「花」は、聴く人の心に咲いて枯れないことでしょう。
今年10月には、長らく定期的に演奏しているウィーンフィルのメンバーとも、
横須賀でコンサートが予定されています。