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今かぐわしき人々 第274回
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    第274回:狩野泰一さん(篠笛奏者)

    更新日:2026.3.16

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人間のハートビートは太鼓になり、呼吸は笛の音になる。
それらが自然に動き、絡み合い、心地よくうねっていくことこそ
生きた音楽の真髄

 日本古来の楽器、篠笛。そのシンプルな楽器は、狩野泰一さんが息が吹き込むと驚くほどの分厚く豊かな音を響かせる。その篠笛で世界各国を巡り、演奏している狩野さんが、10年の歳月をかけてアルバム『WORLD PEACE』を2026年4月1日にリリースする。今こそ世界に響いてほしい、平和への祈りのような曲たちが並んでいる。

《1》篠笛は日本の祭り文化の中で生まれ育ってきた笛

 篠笛。篠竹でできたこの笛は、日本の風景、祭り文化の中で生まれ育ってきた特別な楽器だと狩野泰一さんは言う。

「いろんな楽器をやってきて、なぜ篠笛に落ち着いたかというと、日本で生まれた楽器はこれだけなんじゃないかと思うからなんです。日本で独自に発展した尺八も三味線も箏も、起源は中国。1300年前に雅楽という音楽が日本で始まるんだけれど、それも中国からきた楽器、朝鮮半島からきた楽器を並べてオーケストラにして出来上がっているんです。でも篠笛は日本で自然発生的に、みんな作って吹いていたんじゃないのかな。なぜなら、篠竹は北海道以外はどこにでも生えていて、各地で自然発生したと思われる様々な篠笛が今も残っているから。佐渡では、指穴が一つ、二つの笛が、今も祭りで使われているんです。ただ古い地層から出土した物証はないんです。竹は腐って土に還ってしまうから。でも、縄文遺跡から骨笛、土笛は出土してるので日本の笛文化は数千年前からあったと言えます」

 筒に穴を開け、吹いて音を出す。日本・世界各地で、笛は自然発生的に生まれていったと考えられる。

「竹が生えているアジア、南米等には各地に笛文化がある。ヨーロッパには竹の代わりに動物の骨でできた笛が大昔からあったようです。ケルン放送交響楽団 首席フルート奏者 ミヒャエル・ファウストさんとはずっと奏法の意見交換をしているんですが、彼と一緒に寿司屋に行った時、そこの大将が世界で一番古い楽器が出土したという新聞記事を見せてくれたんです。それは、約4万年前のワシの骨の笛です。人間は太古の昔から、呼吸を音に変えてきました。笛は、呼吸がそのまま音楽になる楽器なんです」

 しかし篠笛を吹く人が減っていっていることを狩野さんは危惧する。

「日本各地の村の祭りがどんどんなくなっているでしょう。祭りって日本人のルーツなのに。それに最近、音楽のほとんどが機械の音で出来ているでしょ。人間が演奏していない音。それもいいけどね、私は真逆を行っているんです。人間のハートビート、人間の呼吸が自然に動いて、心地よくうねっていくことこそ音楽の真髄だと思うんですよ」

 人間が人間らしく心を躍らせる音を求めて、狩野さんは篠笛を吹く。しかしそこに辿り着くまでに、狩野さんの人生にもいろんなことがあったのだった。

狩野泰一さん

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