1. HOME
  2. 連載長編小説『4 LOVE NOTES』
  3. 第12話 『麻貴のプロポーズ』
4 LOVE NOTES
    1. 特集
  • 連載長編小説『4 LOVE NOTES』
    第12話 『麻貴のプロポーズ』

    1. LINEで送る

【ここまでのあらすじ】

あるイベントで偶然、同じテーブルになった多美子、麻貴、有紗、未知。世代を超えて仲良くなった4人はそれぞれの恋や仕事の悩みを月1度集まって話し合っている。フラワーアーティストの麻貴はブライダルの現場で出会った年下のピアニスト、篠原翔平のマンションを時々訪れるようになったが、関係は進展しない。第3話、第8話でその様子が見てとれる。


《1》

夜になってもお湯の中にいるように暑い。
熱気と湿気が肌に張り付いてくるのを、もがきながら歩いているように思えてくる。
畠中麻貴は、心のなかでももがいていた。
篠原翔平と付き合って1年にも満たないが、なんだか同じことの繰り返しのような気がして、このままではどうにもならない気がして、もがいていた。
その金曜の夜も、麻貴は翔平と約束はしていた。ライブ終わり、閉店滑り込みで、焼肉を食べにいくことになっていた。
溝の口ホルモン。本当はもう違う店名に変わったのだが、二人の間ではずっとその店名だ。店内だけではなく、外にまで七輪が並んでいて、外席は半額だという噂もある。その日も、それが目当てなのか、見たことがあるようなないような若手のお笑いタレントらしい人たちが、外席に陣取っていた。

「今の時期、外はきついねえ」
「ほんとに半額なのかな」
「座ってみる?」
「いや、やめとこ」

麻貴はすでにファンデーションがついたハンカチで、鼻のあたりを押さえながら言った。

二人は店内に入った。12時前だというのに、店は満席だった。煙でもうもうとしている。

「さあ、食うぞ〜」

翔平は薄いジャケットをカバンの奥にねじ込みながら言った。いつもおとなしげな彼もこの店に来た時だけテンションが上がるのだった。
麻貴はそういうときの翔平を息子のように愛おしげに見つめるのが常だった。

「すみません、生二つ〜」

自分も高らかに手を挙げて、店員を呼んだ。

  1. 1/4

先週の人気記事

スペシャルムービー

最新記事

  • スペシャル・インタビュー 第49回  熊谷真実さん

    更新日:2019年6月28日

  • スペシャル・インタビュー 第48回  森覚さん

    更新日:2019年6月25日

  • スペシャル・インタビュー 第47回 北京一さん

    更新日:2019年6月19日

  • 甘さの中に苦みを持った大人の香り – ライム

    更新日:2019年6月19日

  • スペシャル・インタビュー 第46回 矢沢透さん

    更新日:2019年6月14日

  • スペシャル・インタビュー 第45回 折原みとさん

    更新日:2019年6月11日

  • 長編小説第18話

    更新日:2019年6月6日

  • ジューンブライドに!ロマンティックな香り

    更新日:2019年6月4日

  • 世界最古のスパイスのひとつ–シナモン

    更新日:2019年5月30日

  • 「八十八夜」に楽しむお茶の香り

    更新日:2019年4月26日

  • スペシャル・インタビュー 第44回  ミック・イタヤさん

    更新日:2019年4月26日

  • 長編小説第17話

    更新日:2019年4月24日

  • 上品で濃厚な甘い香り-バニラ

    更新日:2019年4月22日

  • 「お香の日」って?

    更新日:2019年4月5日

  • 浄化の力を持つアロマ-ジュニパー

    更新日:2019年4月3日

  • スペシャル・インタビュー 第43回  山本容子さん

    更新日:2019年3月29日

  • スペシャル・インタビュー 第42回  波戸場承龍さん

    更新日:2019年3月27日