仏壇店、葬儀社、花店、宗教団体。橘美衣さんが香りをもっていく営業先は、かなり折り目正しい場所ばかりです。しかしそんな専門店も、時代とともに様変わりしている様子。それはとりもなおさず、亡くなった人たちとの向き合い方も変化しているということなのかもしれません。
「これまでは仏壇店もパソコンがないような店も多かったのですが、代替わりして、インターネットでお仏壇やお線香を売り出したら売上げが伸びたというような話もあります」
お仏壇そのものも、これまでとは形状が変わってきています。
「仏間、というものがあるお宅も少なくなってきましたから、大きなお仏壇を置くスペースがないのです。そのため、リビングルームにも置けるような小ぶりでスタイリッシュなお仏壇が今は主流です。いわゆる家具調とよばれるものです。
そういった小ぶりなお仏壇は、特別養護施設などに入居される方にも好まれているといいます。
「施設は火気厳禁のところが多いのですが、お線香をあげたい気持ちはみなさんあります。そこで『華ともか』というセラミックにアロマオイルを染み込ませるシリーズをおすすめしています」
可愛らしい陶器の器のなかに、セラミックの花がいくつか入っていて、アロマオイルを垂らす仕草がお線香を立てる仕草と少し似ています。
「お線香を立てる、その気持ちを大事にしてもらいたいですから」
電気ろうそくも人気の商品。特に震災以降は売れるようになったそうです。