「越境EC」という言葉をご存知でしょうか。
越境ECは、国を越えて情報、物流、決済を可能にするEコマースのこと。
インアゴーラは、中国のユーザーに日本の商品を紹介する「越境EC」として、大きく躍進しつつある会社です。
実はこの会社の越境ECアプリ「豌豆公主(ワンドウ)」では、日本香堂のお香が大変な人気を集めています。
起業された翁永飙CEOと、ライフスタイル事業部の赤塚保則さんに、ビジネスの現状と、日本香堂の商品の人気の理由、これから期待することなどを伺いました。
翁永飙CEOがインアゴーラを立ち上げたのは、2014年のこと。その時点で来日して25年になる翁さんが日本で起業するのは5社目でした。伊藤忠で初の中国人新卒採用社員として勤務した後、いずれもIT系の会社を立ち上げてきた翁さん。今回の狙いは、中国の良さと日本の良さを融合させることでした。
翁さんは言います。
「日本の人口は1億。中国の人口は10億。その規模の差が、インターネットのシステムという分野では、技術力、開発力という点で、圧倒的に中国を優位にしました。ところが、サービスはアメリカ生まれのものが多い。そしてアメリカは全世界に向けてそのインターネット・サービスのビジネスを展開しています。では日本にあるものは何か。それはソニーやパナソニックが作ってきた時代から顕著ですが、プロダクトです。日本のものづくりの力は世界的に評価されています」。
日本の素晴らしいものを日本のなかだけで消費させることを考えていては、限界があります。せっかくのいいものをもっと世界のマーケットで売る必要があるのです。
「中国でも、1990年頃から日本の高度成長期と同じような現象が起こりました。
最初は電化製品、車、そして生活のすみずみまでのレベルアップです。たとえば女性のスキンケア、いい歯ブラシといった消費のグレードアップが始まりました。イメージとしては、年収400万円くらいの中流階級が増えたのです。やがて2010年から2014年にかけて、いわゆる『爆買い』現象が起きます。『メイドインジャパン』に対する安全性、商品のクオリティがトータルとして信用されていったのです。そこでまず、体に触れるもの、口に入れるものにニーズが集まりました」。