日本の商品に信頼と注目が集まるなか、日本香堂の「お香」は、中国の働く女性たちがこぞって購入しているそうです。
しかし、なぜ「お香」がこんなにも受け入れられたのでしょうか。
「競争の激しい中国経済のなかで、働く女性たちもストレスを感じる人が増えているのでしょう。私自身、お香と聞いて、最初はお墓やお寺に行く時にだけ使うものだと思っていました。でも、今は料亭や旅館に入ったときに、お香がたいてあります。それはリラックスのためですね。おそらく中国から日本への観光客も増え、そういった場所で『日頃のリラックスに使うもの』という認識が広まったのかもしれません」。
豌豆公主(ワンドウ)では、そういったリラックスのための生活提案を含めた情報発信をしています。
「お香のように手にとって火をつけてみないとわからないものでも、動画やインフルエンサーの発信を通して、スタイルとして真似してみたくなるというのは、とても大きなことだと思います。これからはさらに、香りのあるライフスタイル全般を提案していきたいですね」。
違いがわかる女性たちに向けて
そもそも「豌豆公主(ワンドウ)」の名称は、アンデルセン童話の『えんどう豆の上に寝たお姫様』に由来しています。敷き布団と羽根布団を何十枚も重ねても、その下に置かれたえんどう豆を感知して「眠れなかった」という、そういう違いの分かる人こそが本当のプリンセスだというお話です。
つまり「違いのわかる女性」に、このアプリを認めていただけるサービスを追求していきたいということなのだとか。
ライフスタイル事業部の赤塚保則さんは、言います。
「肌に触れる商品のニーズがあったことから、もともとは信頼できる日本の化粧品からスタートしました。今は他人にモノを見せるよりも、自分の生活をいかに楽しむか、にシフトされている気がします」。
日本香堂のお香が受け入れられた理由としては、生産している会社から直接仕入れているという点も評価されたと言います。
「動画で香木や香道の伝統を紹介したりしました。日本香堂という会社が本物で上質な商品を作っているということを伝えてきたのも消費者に響いたのでしょう。今売れつつあるのはペット用のアロマの商品。香炉、香皿などお香に付随するもの。より上質な生活を求める人に向けて、KITOWAの商品も扱っていきます」。
昨年、中国でのEコマースが1年で最も盛り上がる11月11日の「独身の日」でのこと。ライフスタイル部門で日本香堂の商品が非常に好調な売れ行きで、中国のスタッフから「ダークホース」と例えられたそうです。
「高級で、価値が伝えづらいものでも、自分を豊かにするものに対する購買欲求はあるということなのでしょうね。消費に対する意識が上がってきているということでしょう」。
中国ではキャッシュレス化が進んでおり、同社の物流は税関とも連携しています。
物流の確かさに加え、商品をセレクトし、ライフスタイルごと提案していくEコマースとして、これからも日本香堂とのタッグはますます強くなりそうです。
取材・文 森 綾
https://moriaya.jimdo.com/
大阪府生まれ。神戸女学院大学卒業。
スポニチ大阪文化部記者、FM802編成部を経てライターに。
92年以来、音楽誌、女性誌、新聞、ウエブなど幅広く著述、著名人のべ2000人以上のインタビュー歴をもつ。
最新著書は、「大阪のおばちゃんの人生が変わるすごい格言一〇〇」
撮影 上平庸文