創業70周年を超え、全国で小売業では3社しか選ばれなかった「はばたく中小企業・小規模事業社」として経済産業省から表彰された、株式会社菊屋。
主に駅ビル・百貨店などの駅前型商業施設内で和食器・洋食器・漆器・ガラス器などの器とキッチン雑貨・インテリア雑貨を取り扱う店として成功し、関東圏に47店舗を展開する三代目、宮崎浩彰社長は独自の経営哲学をもつ豪腕。日本香堂のお香も、宮崎社長のアイデアで器とともに主力商品となっています。「自ら動く」社長の理念をじっくりうかがいました。
昭和24年、宮崎浩彰社長のおじいさまが吉祥寺のショッピングアーケード内に創業した菊屋。今も地元の人を中心に手頃で気の利いた器とキッチン・インテリア雑貨などを扱い、欠かせない存在となっています。
宮崎社長はトップとなって12年目。今も店の引越しとあればトラックを運転して荷物を運び、店の改装でも現場で指示したり。現場を心から大事にする姿が
社員達にリスペクトされています。
「運転していたら配達員と間違われたりしますよ(笑)。でもトップが自ら動くことで組織は動きます。私のやり方は誰かに教えられたというより、独自で学び、作り上げたもの。自ら方向性を示し、習って動いて、褒めれば人は動く。目標だけを掲げて、どういうふうにやるかは社員自ら考えて自由にやってもらっています。スターバックスコーヒーと同じで、マニュアルはありません」
スターバックスコーヒーの理念である「本質において一致、行動において自由、
すべてにおいて信頼」という言葉は宮崎社長の心にも生きているのです。
というのも、宮崎社長は入社するまでアメリカで経営を勉強し、MBAを取得されています。どこかアメリカナイズされた風通しのよい経営手法を自然と身につけておられるのです。
「両親から会社には入ってくれと言われたのが23~4年前。入社してすぐに財務に入ってくれと言われました」
実は会社の経営はかなり悪化した状態でした。宮崎社長の苦労が始まったのです。