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    桐山智さん(横浜市立瀬ケ崎小学校教諭)

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 台風で地滑りしたアスレチックの森を改修するために、子どもたちが自ら考え、商品開発したものを売り、修理代を稼ぐ。そんな画期的な総合学習を実現させている小学校があります。横浜市立瀬ケ崎小学校。そこで子どもたちを楽しく指導しているのが桐山智先生。今回、子どもたちがお香を商品として売ることに、株式会社日本香堂もお手伝いをしました。

《1》子どもたちをもう一度アスレの森へ

 今、小学校の課程に「総合的な学習の時間」=総合学習という科目が組み込まれています。
 総合的な学習の時間とは、文科省のホームページによると「変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしていることから、これからの時代においてますます重要な役割を果たすものである」とのこと。

 それを楽しく具現化していくのは、指導者の力によるものも大きそうです。
 横浜市立瀬ケ崎小学校では、桐山智先生の指導のもと、令和元年の台風15号で地滑りして入れなくなってしまった裏山のアスレチックフィールドを改修する費用の一助とするべく、総合学習として商品開発をしていました。

「もちろん、巨額の修理費を子どもたちが開発した商品の売り上げだけで賄うことはできません。まずは助成金です。横浜市や金沢区の助成金で階段の補修を行いました。去年は1年かけて現状調査も行い、関東学院大学の中津秀之准教授のゼミの方々にもご協力いただきました。そして地域の方々にも呼びかけ、98人の方が集まってくださって、10月には山の中の草刈りや、土砂運びなどもしてもらえて、おかげで一気に中に入れるようになったのです」

 実際に山を途中まで上がらせてもらいましたが、ところどころ、まだ使えない場所もあり、ここまで復旧するにも大変な労力だったことが想像できました。
 地域の方々の尽力はまだまだ続いているようです。

「ずっと以前は、子どもたちが自由にこの山で遊んでいたんです。そこでなんとか子どもたちだけでも山に入れるときは入れるようにしたい。そこで地域の人たちによって『アスレの森の見守り隊』がボランティアで組織されました。今は雨天の翌日はぬかるむので入れませんが、条件が整うと、見守り隊が出動し、昼休みなどに入ることができます。これからはアスレチックの遊具や坂道を登る補助具、歪んだフェンスを直すなど、ものを買うフェイズになっていきます」

 行政や地域の人たちだけに甘えているのではなく、そこで、子どもたちも「自分たちにできることはないか」と考え始めたのです。

《2》ヒノキの香りに気づき、おがくずからエッセンシャルウオーターを抽出

 今の6年生の子どもたちが5年生だったときから、その自発的な動きが始まりました。

「ひたすら遊ぶだけだった子どもたちが『森で商品をつくりたい』と言い出したんです。『おばあちゃんがどくだみの葉っぱでどくだみ茶をつくれると言っていた』とか。『竹が生えているから、筍でメンマがつくれるんじゃないか』とか。『苔が生えているから苔玉にして売れるんじゃないか』とか」

 数年前から推進されているSDGsの「不要なものを活用する」という言葉にも触発されたようでした。

「いらなくなった木を活用できないか、という話にもなりました。去年の夏前に、金沢八景で酵素サロンを経営している父兄から大量のおがくずをもらい、砂場のように敷き詰めて『おがくず広場』をつくったりもしていたんです。おがくずをまくと、雑草が生えてこないという利点もあり、その上で相撲を取ったりしても痛くない。このおがくずが土嚢袋で何十袋とやってくる。檜の良い香りがするんです。ここで子どもたちが、木の香りの良さに気づいたんです。『エッセンシャルオイルが取り出さないか』という話になったんですよ」

 まさにオトナ以上の発想力です。それを具現化すべく、桐山先生も仕組みを考えました。

「いろいろ調べて、蒸留して冷却する装置を圧力鍋でつくりました。おがくずを不織布に入れて、樹脂のホースをつけ、アルミのストローをつけて、冷却装置に入れて。抽出したら、オイルは取れなかったのですが、エッセンシャルウオーターは大量に取れました! 1立方メートルくらいになったかな。それで、これを入浴剤にできないかということになり、評議委員をされている方の銭湯で使ってもらいました」

 台車でヒノキのエッセンシャルウオーターを運び、10月7日、山を手入れした日に、銭湯でひのき湯を実現できたのでした。

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