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その18「文芸部のヘンな私たち」
    1. エッセイ
  • その18「文芸部のヘンな私たち」

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●メジャーなテニス部よりマイナーな文芸部

 中学の部活は圧倒的に軟式テニスが人気だった。
 なんのことはない。みんなすぐドラマやアニメに影響されるからだ。おそらく、その時代のたくさんの女子が『エースをねらえ!』の岡ひろみになりたかったのだろう。
 だが女子校である我が校には藤堂くんはいない。棟方コーチもいなかった。
 そういえば、私の世代はスポ根漫画に育てられた。後のバブル時代に「24時間働けますか」と腰に手を当てて不眠不休で働いたのは、そんな影響もあったのかもしれない。
 男子には『巨人の星』、『空手バカ一代』があったように、女子には『アタックNo.1』があり、『エースをねらえ』があった。
 我が校には校舎から校門へと続く道から見下ろせる、赤土の美しいテニスコートがあった。その脇にはスロープと呼ばれる坂があり、軟式テニス部の女子たちはそこをうさぎ跳びしていた。
 どうしてあれが楽しいのだろう、と、私は思った。疲れるだけだ。だいたい、あんなことをしてテニスが上手くなるわけがないではないか。
 そう思ったのには訳がある。私は運動がからきしダメだったのだ。
 まず器械体操ができない。跳び箱、マット、平均台、全て恐怖だった。小学校の頃、跳び箱4段で着地に失敗して捻挫した。先生がマットを丸めた上を跳んで座る練習からやらせた。クラスで一番太った女子とやや痩せ型の私の二人が、お寿司のように丸めたマットで遊んでいた。

 そんなわけで部活のオリエンテーションがあったとき、心惹かれたのは文化系であった。しかも、もう心は決めていた。文芸部だ。
 ものを書くことを、もはや将来の目標にしていた私は、迷わずその少人数の部活の部屋を訪れた。
 三つ編みを肩先に垂らし、少女怪奇漫画のヒロインのように純粋な瞳がくりくり可愛らしい部長は、タカオカマリコさんという名前だったと思う。
 饒舌多弁ではなく、何か話すのに一呼吸あり、静かにうなずいて、美しい言葉を発する人だった。
 副部長はスズキヒロミさんという、アゴまでの黒髪のおかっぱの、この人も美人だった。が、自分のことを博美転じてハクミ、と言った。

「ハクミ、そうは思わない〜」

 そんな感じだった。その喋り方はあんまり賢そうではなかったが、成績は良い人らしかった。私は、きっとハクミ先輩は大人になったら煙草を吸うだろうと想像した。
 二人とも中2だった。
 中3の人はいなかった。
 文芸部は全員で5〜6人だった。
 増員を期待されていたが、新入部員はモリタマユミと私の二人だけだった。

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