ソロ・シンガーとして活動、川畑要さんとのボーカルデュオ、CHEMISTRYとしては20周年。さらに今秋はミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』でのジャック役と、活躍が目覚ましいボーカリスト、堂珍嘉邦さん。ニューシングル『愛の待ちぼうけ』や、そこに収録されているカバー曲『LILAC WINE』への思い入れなど、歌うことへの変わらぬ志を語ってくださいました。
安定した心地よい声が、ストリングスの演奏で伸びやかに広がっていくバラード。ニューシングル『愛の待ちぼうけ』は、その歌詞にある寂しさをむしろ慈しむような美しい歌。堂珍嘉邦さんは、この曲を初めて「依頼されて」歌詞を書きました。
「日露共同製作の映画『ハチとパルマの物語』の主題歌として作って欲しいということで、初めてそんな風に依頼を受けてかいた曲です。イヌと少年が主人公ですが、どちらも愛に飢えている存在。出会いと別れ。少年とイヌの絆。イヌと人間が物語の中で共通の気持ちをもっていて、それを言葉にしてみようと思った。そこにはきっと誰にでも共感してもらえるものがあると思ったので」
共作には映画音楽を数多く手がけて定評のある上田禎さん。2019年以来、堂珍さんのライブでのサポートメンバー。
「東京スカイツリーのプラネタリウムで開催されている、『LIVE in the DARK』というイベントに出演しているのですが、その際、上田さんがキーボード演奏をしてくださっていたのです。映画の主題歌という話をもらった時、すぐ上田さんのところへ行って、一緒に作りませんか、とお願いしました」
その時、堂珍さんの頭に閃いたのが、ストリングスとの共演。
「ストリングスとの共演はソロになってからは2回目ですが。今はなかなかそこまで贅沢な環境でやれることって少ないですから。でもそこで感じられるストリングスの音の波長や、呼吸を合わせる感じがこの歌にはぴったりでした。格別なものになりましたね」。