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    第101回:堂珍嘉邦さん(ボーカリスト・アクター)

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《2》ソロ10周年。これを聴いて育った、という曲をうたってもいいかなと

 同じシングルに収録されている『My Angel』もオリジナル曲(石井マサユキさん提供)ですが、もう一曲、これまでライブで歌い続けてきたカバー曲『LILAC WINE』が収録されています。これがとても味わい深く、堂珍さんの内面にある新たな一面を感じられます。

「60年代に女性シンガーのニーナ・シモンが歌った曲なのですが、90年代に活躍して若くして亡くなったジェフ・バックリィが歌っていて。2001年に広島から上京してきて、いろんな音楽をかき集めるように聴いたなかに、ジェフのアルバムがあって。最初は「怖い」と思いました。鬼気迫るものがあって。でもレナード・コーエンの『ハレルヤ』をカバーしたのを聴いたとき、なんてあったかいんだろうと。怖い感じもあったかい感じも全部素敵で、全部がジェフなんだと、本当に感動しました」

 その後、ジェフ・バックリィとその父、ティム・バックリィの生き様を描いた映画のコメンテーターに選ばれた堂珍さんは、ジェフと自分の誕生日が同じ11月17日だと知りました。

堂珍嘉邦さん

「勝手に縁を感じましたね。ティムも若くして亡くなっていて、ジェフはその父の影と戦ってきたと思うんですが。そんなジェフのアルバムの中から、カバーされていた『LILAC WINE』を見つけて、それからライブで5年以上歌っています。カバーって、いろんな人がいろんな曲を歌っているけど、やっぱりそこには憧れとか探究心、思い入れみたいなものが必要だと思う。聴く人が判断することかもしれないけど、自分で自分が思うようなものにはなってきて、馴染んできたのでレコーディングしてもいいかなと」

 ソロになって10周年を来年に控えた今だからこそ。堂珍さんの楽曲へのリスペクトと愛情がひしひしと伝わってきます。そして、それをうたう、ということについても。

「今までの途中経過の一つのゴールというか、これを聴いて育ってきた、というものをやりたいというのがありました。心がふるえる歌ってどんな歌なのか。それをうたうためにどんな自分でいるべきなのか。自分の生きてきている経験が元になって、そこから出てくるわけですから。例えば失恋の歌も、今ハッピーな自分だったら失恋した時の思いをこじ開けてうたう、というように。自分の体と声と心でコンスタントに伝えるのが歌であり、同時に歌自体がみんなの思い出でもある。そこはバランス、適量ですよね」

 確かに堂珍さんの歌声は、聴く人がそこにまとわせる想いを受け入れてくれるゆとりがある気がします。

「発声が良いだけでもダメだしね。また最近はそこにはっきり向き合えていますよ。でも『愛の待ちぼうけ』は20年後ぐらいの自分が歌うともっといいかな」

 一つの楽曲と長く付き合う。そんな堂珍さんのスタンスはとても魅力的です。

堂珍嘉邦さん

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