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今かぐわしき人々 第102回
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    第102回:遊佐未森さん(シンガーソングライター)

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 デビューから33年。自然のなかの音に耳を澄ませ、自らのタイミングで音楽を作り続けてきた遊佐未森さん。雨上がりの空に虹をかけるような美しい歌声は、時を重ねてますます研ぎ澄まされていく様子。6月23日に発売になる5年ぶりのニューアルバム『潮騒』は、遊佐さんの新境地であり、根っこの部分を彷彿とさせるサウンドが詰まっています。

《1》クラシックの基盤の上に独自で編み出した唱法

 大人の女性の落ち着きのなかに、どこか少女のようなあどけなさを秘めて。遊佐未森さんは、デビュー以来、自分で曲を作り、歌い続けてきました。
 5年前に発表した前作『せせらぎ』と、新譜の『潮騒』を聴き比べてみると、川から海へと情景が変わっていくように、よりおおらかで深いものへと変化しています。

「コロナ禍の世の中で、当たり前の日常が遠くなって、落ち着かない日々が続いていますね。こういうときに、ミュージシャンとして何をしていくべきなのか。配信ライブという手段はあるけれど、新しい音楽を届けるためにはどうしたらいいのか。いろいろ考えながら耳を澄ませたとき、潮騒が聞こえてきました。静かだけれど、エネルギーがひたひたと湧いてくるようなあの音です。音楽のなかにもそんな力があるような気がして、曲を作り続けました」

遊佐未森さん

 遊佐さんは、湘南の海の近くに住まい、20年ほどになるそうです。海のエネルギーが彼女自身にしみ込んでいるのかもしれません。
 『潮騒』はピアノとカルテットのサウンドが遊佐さんの歌声を支えます。これまで遊佐さんが歌ってきたポップスにクラシック音楽のテイストを漂わせた安らかなサウンドです。

「生まれ育ったのは仙台です。クラシックは子どもの頃から身近にあった音楽でした。ピアノは小1から始めましたが、小5から仙台市少年少女合唱隊に入り、そこでたくさんの刺激をもらいました。主宰しておられたのは、指揮者で作曲家の福井文彦先生。ミサ曲をやったり、『くるみ割り人形』のオペレッタをやったり。先生の作曲された子供のための合唱組曲をうたったり。福井先生は子どもに対しても大人に指導するように真剣に教えてくださいました。その環境は大きかったと思います。それでそのとき出会った声楽の先生のところへ中学からはレッスンに通い始め、高校、大学と音楽を学びました」

 しかし、遊佐さんの歌声は声楽家の人の近寄り難いような声ともまた異質で、どこか親しみやすさがあります。

「声楽の『ベルカント唱法』と地声でうたうポップスの歌い方を組み合わせて、自分のなかで今の歌い方を編み出したんですね。ベルカントは横隔膜を使ってうたうので、喉に負担をかけすぎない。自分で心地よくうたうと、今のようなうたい方になります。この期に及んで、声域が広がっていて、下の方も出るようになっています。未知の世界に入ってきた感じで、声の変遷をたどっていくのも楽しいですね」
 33年をうたい続けてきた人の基盤にはやはり確かな土台が築かれていたようです。

「こんなに長く活動させてもらって。全てが音楽に集約されていく人生なんだなと思いました」。

遊佐未森さん

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