1984年にレベッカのキーボーディストとしてデビュー、その後、同バンドを牽引していった土橋安騎夫さん。その後もTMネットワークの宇都宮隆さんとのユニットやソロの演奏活動など、日本のロック&ポップスの大きな流れを作っています。ここ10年、バンドとして活動しているSho-ta with Tenpack riverside rock’n roll bandは、洋楽育ちの大人たちも大満足なノリの良さが身上。バンドの魅力と意気込みは、5枚目のアルバムへと繋がっていきます。
ボーカリストはSho-taこと田村直美さん、ギターに野村義男さん、ベースに聖飢魔Ⅱのゼノン石川こと石川俊介さん、そしてドラムはTHE ALFEEのサポート等で活躍する長谷川浩二さん。…凄腕のミュージシャンが集まって10年近く。Sho-ta with Tenpack riverside rock’n roll bandの始まりは、意気投合という言葉が相応しいものでした。
「Sho-taのソロ20周年を記念したライブで僕らがバックバンドをやったんですよね。それで意気投合してこのままバンドでやろうか、ということになって。ただ、みんなとは初めて顔を合わせたわけではなくて、僕はSho-taともよっちゃんとも、シュン(俊)ちゃんとも仕事をしているし、長谷川くんのことも人伝に聞いていたし」
土橋さんは田村さんのことはデビュー前から知っていて、野村義男さんのこともレベッカ時代からの付き合い。石川さんのいた聖飢魔IIも、土橋さんは’88年にプロデュースしています。
「Tenpack結成のきっかけはSho-taでした。気づけばほぼ10年、アルバムを春にレコーディングして夏のライブツアー、秋冬にもツアーやってを繰り返していて。去年、コロナで途切れて、あれ、そういえば毎年やってたね、と気づいたんですよ」
売れる売れないをあまり考えず、大きな宣伝もあまりせず。ただ聴いてくれる人たちと楽しく盛り上がって、その数が年々増えていくというバンドらしい人気は高まり、一昨年は赤坂BRITZでのライブがものすごい盛り上がりに。
「自分のソロはSNSのプロモーションなんかも使って広げていますけど、あのバンドは肌で感じて一緒に盛り上がる良さを知ってるお客さんを集めたいと思ってやってきたんです。ライブへ行ってみて、ほんといいから、っていう広がり方。その発信、集客の仕方に自分的には執着があってね」
確かにそのライブの熱いノリは、CDで聴くだけでも伝わってくるものが。
「メンバーはみんな百戦錬磨だからね。レコーディングも昔は1日2〜3曲でしょう。それを1日6曲とか録っちゃう。最高9曲録っちゃったこともありました。確かにみんな凄腕なんだけど、若干、うますぎて?(笑)、何回も弾くとバチバチ合いすぎてつまんなくなってしまうんです。迷いがある方が緊張感あって面白い。何度も弾きすぎない方が、勢いがあって新鮮なものが録れるんです。一気に録った曲は最後まで残るんですよ。スタジオ的ではない、バンドならではのノリ。生っぽさを大事にしたいんです」
決まるところがバシッと決まる、心地よさ。ベテランたちの「さあいくぞ」と本番に向かう時のテンションの高さ。でもそこに聴く人を置いてけぼりにしない優しさが感じられます。
余裕を感じる、という言葉には、土橋さんはちょっと注釈をくれました。
「余裕は悪く出ちゃまずい。そこだけ気をつけながらの自然体です。それが10年続いた理由かもしれません」。