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今かぐわしき人々 第108回
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    第108回:野村宏伸さん(俳優)

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 1984年、映画『メインテーマ』で、薬師丸ひろ子さんの相手役として23000人の中から選ばれたのが野村宏伸さんでした。テレビドラマに憧れていた少年が大役を掴み、芸能界へ。その後、テレビドラマ『教師びんびん物語』などでブレイクし、私生活では困難なことがあっても、役者としての道を踏みしめてきました。昨今は舞台に注力する一方、昨年は角川春樹監督が自身の最後の作品という『みをつくし料理帖』にも出演しています。

《1》角川映画との深くて長い縁

たくさんのスターを生んだ角川映画は、少年の頃の野村宏伸さんにとって憧れの世界だったようです。

「『人間の証明』とか『戦国自衛隊』とか。海外の『007』や『ロッキー』シリーズと同じ重みで自分の中に入ってきましたね。俳優として憧れたのは松田優作さん。テレビドラマも『探偵物語』はいつも見ていて、憧れていました。その後、デビュー前に森田芳光監督の『家族ゲーム』も、池袋へ一人で観に行きました。いつもとは違う感じの優作さんがいて、またすごいなあと思いました。こういう日本映画があるんだなあと。森田監督の名前もしっかり胸に刻みました」

 役者になりたい気持ちはあったのかもしれません。高校時代は、友人たちと8ミリ映画を作って主演したこともありました。

「内容はよく憶えていないのですが『アメリカングラフィティ』に憧れて作った青春ストーリーだったような気がします。一応、主演でした」

 なんとなく控え目に、照れたように語る野村さん。ご実家が経済的危機に陥ったことから、グランプリの賞金500万円という、角川映画のオーディションを受けることに。

「23000人くらい応募があったそうです。角川さんは憶えていらっしゃらないと思いますが、オーディションが始まる前に横断歩道ですれ違ったんです。一瞬、目があったような気がしたのですが」

 さて角川春樹さんはその瞬間を憶えていたのかどうか。ともあれ、野村さんはそのオーディションでグランプリとなり、いきなり主演の薬師丸ひろ子さんの相手役となりました。

「最初は演技が難しくて、俯いてばかりいましたね。でも、感動した『家族ゲーム』の森田監督が初めての映画『メインテーマ』の監督。偶然とはいえ、僕はなんだか運命的なものを感じましたね。きっとその先、辛くても続けられたのも、森田監督との出会いがあったからだと思います」。

 その後、野村さんは角川春樹監督の作品で初主演も果たしました。

「『キャバレー』では主演に抜擢してもらい、厳しく演技指導を受けました。これは角川映画10周年記念の映画だったんですよ。でも撮影中、もう辞めようと何度か思いました。『おまえができないから今日はもう無理だ』と、怒鳴られて撮影を打ち切られたりしちゃうんですよ。100人ぐらいスタッフがいて撮っているわけですから、みんなに申し訳ないとか、恥ずかしいとか、いろんな思いで自分が潰れそうになる。精神的に辛かったです。でも、その経験があったから、その後、辞めるとか逃げるとか、もう思わなかった。そこで培われたものは今も残っているように思います」

 昨年は、その角川春樹監督が人生最後の作品と決めてメガホンをとった『みをつくし料理帖』に野村さんも出演しました。薬師丸ひろ子さんや渡辺典子さん、反町隆史さん、松山ケンイチさんら、集まったのは錚々たる顔ぶれ。

「春樹さんも78歳になられたのかな。今回は、随分優しくなられていましたよ」

 野村さんは、記念すべき作品に出演できて、とても嬉しかった様子です。

野村宏伸さん

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