
人気の女性誌で活躍していた橋本れみさんは、今は白金と鎌倉の二つの拠点を持ち、家庭生活とサロン経営を両立させている素敵な女性。
彼女がなぜ発酵食品に目覚め、それを本気で広めようとしているのか。光あふれる鎌倉の新しいサロンで、お話を伺いました。

北鎌倉から鎌倉の鶴岡八幡宮の裏へ抜ける道の途中。橋本れみさんの新しいサロンは、少し山側に入ったところにあります。裏庭に檸檬の木もある素敵な場所には、一般社団法人・日本発酵文化協会認定の”発酵プロフェッショナル”の彼女に「生酢のつくりかた」を学びたい人たちが集まります。
橋本れみさんは、抜けるように白い肌が印象的な美人。エージレスで健康そのものですが、実は発酵食品に目覚めたのには意外なきっかけがありました。
「今は52歳なんですが、40代の後半から疲れがちで体力がなくなった時期があったんです。それまですごく健康だと思っていたのに、気持ち的にもあとひと息、踏ん張れない。5年ほど前に、脳に良性の腫瘍も見つかり、それをとったこともありました。子どもも小さいので元気にならなくてはと」
そのとき、橋本さんが出会った最初の発酵食品は、生の甘酒でした。
「生の甘酒を飲んで、みるみる元気になったんです。これはどういう栄養素が入っていて、どのくらい効能があるのか。自分でつくり始め、それを微生物の検査場に出しながら研究しました」
甘酒のすごさをただすごいで終わらせず、エビデンスをきちんととろうとするところが橋本さんの探究心の賜物。
「栄養素や賞味期限も出してくれるんです。一般的に売れる状態にして、最初は周囲の人に飲んでもらったり、配ったりしました」
橋本さんのつくる生の甘酒はたちまち評判になりました。
「最初は雪ノ下コーヒーというコーヒースタンドで販売してみようとしたんですが、お友達がバナナジュースを売り出したので、その小屋は埋まっちゃった。それで、冷蔵庫に滑車がついているような荷車を引いて、道端で売り始めたんです」
またしてもすごい行動力。
「甘酒を入れたら荷車はすごく重くなってしまい、鎌倉は坂も多いので、大変でした。試飲もいっぱいしてもらったので、学生さん、観光客、インバウンドの方々に売れました。意外とヨーロッパの方が美味しいと喜んでくださったり、すごく詳しい方もいて、けっこう売れました。コミュニケーションも楽しかったです。そのうち、高齢だったり、病気で固形物がだんだん喉を通りにくくなるといった方々の定期注文も入るようになりました」
夏場以外は冷凍もせず、生にこだわっているため、甘酒は予約通販、たまにワークショップもしているそう。
詳しくはhttps://amazing-amazake.com/のサイトへ。
「マルシェに出したりすることもあります。その甘酒の流れで、発酵業界でも注目されている生の酢づくりを推奨し始めたんです」。

生の酢づくりは失敗もしにくいことから、定期的なワークショップにしています。
「酢には殺菌力があるので、最初からほぼ成功します。しかも2週間でできてしまう。日本酒を入れると米酢に。白ワインを入れると白ワインビネガーに。赤ワインを入れると赤ワインビネガーになります」
流通するには発酵の菌の働きを止めないといけませんが、生のままだと酢酸菌は生きているんだそう。
「生だと生きた酢酸菌が大腸まで届くと言われています。酢酸菌は、腸内で短鎖脂肪酸を生み出す菌の仲間です。この短鎖脂肪酸は、2000年以降から、DNAの損傷に適切に対応するための仕組みを整える働きがある可能性が世界的な研究機関によりわかってきました」
最近、よくネットでも目にする短鎖脂肪酸は、免疫力向上、ダイエットなどさまざまな効能を期待されています。
「人間の体は37兆個の細胞からできており、多くの細胞には核があって、そこにDNAが存在しています。DNAの二重螺旋構造は、昨年亡くなったジェームズ・ワトソンによって1953年に明らかにされました。近年の研究では、短鎖脂肪酸はFOXO(フォクソ)と呼ばれる転写因子と、DNAの働きを正常に保つ仕組みのなかで関わり合ってきていることもわかってきています」
とても大事な短鎖脂肪酸。増やすに越したことはありません。
「腸はホルモンとも関係があって、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンは90%腸でつくられると言われています。このセロトニンが多いと、心が安定します」
橋本さんの生の酢をつくるワークショップでは、もっと詳しく短鎖脂肪酸の働きについて解説を聞くことができます。
なぜ生がいいのか。短鎖脂肪酸は体の中でどんな働きをするのか。詳しく知ればさらに体の中で活躍してくれることでしょう。

最初の発酵ブームが起こったのは2011年ごろ。しかし健康への深い関連が次々と研究され、明らかになっていく今、発酵に興味をもつ人は世界的にもいっそう多くなっています。
例えば日本の伝統的酒づくりは、2024年12月にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
「発酵への注目度は本当に上がっていて、協会もいろいろあります。私がプロフェッショナルの資格を取得した日本発酵文化協会は”八海山”の八海醸造と深いつながりがあります。世界の学者たちも日々研究しています。エビデンスを正確に取らないと世の中に広められませんから、今発表されていることはかなり正しいと思います」
さて実際に生の酢をつくってみました。
蜂蜜などの手に入りやすい材料を、橋本さんの指示通りに混ぜたら、そこに酢酸菌を入れるだけ。
あとは、自宅に持ち帰って、発酵を待ちます。
「生の蜂蜜にも殺菌効果があります。マヌカだと強すぎますが。毎日混ぜて、味の変化も見てください。10〜12日間ぐらいで、お酢になります」。

エビデンスに基づく講座、酢づくりのあと、楽しく酢を取り入れる工夫も伺います。
「甘酒にもこの生のお酢を少し入れると、爽やかになって後口もいいですよ」
実際、飲んでみると、甘酒自体もやさしい甘さで、すっきりしました。
橋本さんは、お料理も名人級。聞けばケータリングの依頼にも応えているようです。
「それで、生のお酢をつくるワークショップも、講座と酢づくりのあと、フィンガーフードとワインを少し、といったアペロの時間を楽しんでもらおうかと。2月から始めようと思います」
お重を開けると色とりどりのフィンガーフードが。ひと口のかぶのスープも滋味あふれるお味。春菊のムースにキャビアがのっていたり。紫芋のケーキがあったり。
健康を求めて始める生酢づくりにやってくる人もいれば、ここでひととき、生酢をご縁に心がほっとする会話を楽しみにやってくる人もいるでしょう。
橋本さんの行き届いたおもてなしのようなワークショップには、素敵な人たちが健やかにつながりそうです。

●ワークショップのお知らせ
『生酢作りの会 東京初開催』
日時:2026年3月18日(水曜日)11時〜14時
場所:東京都中央区浜離宮庭園1-1
浜離宮恩賜園内 芳梅亭
講座内容:生酢についての講習と仕込みの後、お茶会にて生甘酒&生酢、フィンガーフードのおつまみ等をお楽しみいただきます。仕込んだお酢はお持ち帰りいただけます。その後もずっとご自分で作り続けることが出来ます。
【会費】7,000円 別途、浜離宮恩賜園の入園料がかかります。
【講師】橋本れみ 発酵文化人 発酵スペシャリスト AMAZINGAMAZAKE代表
【お申し込み方法】
gooogleフォーム https://forms.gle/bts5dX2PbfDMsWKm7
●インスタグラム
https://www.instagram.com/remi.h.0518
photo by Yumi Saito
http://www.yumisaitophoto.com/
Text by Aya Mori