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今かぐわしき人々 第119回
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    第119回:かの香織さん(音楽家、創業1757年日本酒醸造元12代目)

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 80年代後半のデビュー以前から、一歩先ゆく音楽とファッションで、お洒落な人たちに絶大な人気だったかの香織さん。90年代はポップスで、2000年代は癒し系の音楽でと、常に時代を先導してきた彼女は、今、自らのルーツとも言える酒造りも手がけています。
 さまざまな時代を素直に生きながら。今たどり着いたかのさんの笑顔は、優しい輝きに満ちています。

《1》ここまで生きて、ようやく生きやすくなった

 白いもふもふのセーターのボトムスはキュッとタイトからフリルになるマーメイドラインの黒いスカート。かの香織さんは、その時代その時代で、少し先をゆくお洒落さを体現する感覚のある人。この日の装いもそれを感じさせます。
 彼女が注目されたのは、国立音楽大学声楽科時代、早稲田大学の学生と組んだショコラータというバンドからでした。そこですでにボーカルと作詞作曲を担当していたのです。

「実家は宮城で1757年から続く造り酒屋でした。アナログな世界でした。みんなの家には電子レンジがあるのに、うちにはない。私が高校時代、物理部だったので、電気が大好き。大学でもクラシックを学んでいましたから、超コンピュターの世界に憧れたのです。電子音が大好きになり、全部シンセサイザーでやっちゃいたい。それで、最初はテクノポップに興味をもちました」

 当時はデザイナーで音楽をやっている人たちもいたり、ファッション業界と音楽も密接につながっていた時代。彼女の感性は時代とともに進化を遂げていきました。

「かつての日本では、仕事は一つに絞らないといけない風潮があったかと思うのですが。一方で、もともとものづくりをする人間は、絵を描いたり、音楽をしたりという兼業は当たり前だったんですね。テクノ世代の人たちは特に、グラフィックデザイナーと音楽、ファッションと音楽と、何足の草鞋も履いていた。私もよくそこを指摘されましたが、逆にいろんなものがあってもいいんじゃないかと思っていました」

 それは、かのさんが造り酒屋に育ったという環境にまた起因するのです。

「生まれ育った造り酒屋は、職人さん達がものづくりをしている場。仕込み唄が聴こえてきたり、ラジオをひねると、クラシックもジャズも歌謡曲も流れてくる。それらの音楽は、私にとって境界線のないものでした。お酒ができあがれば、感謝の歌があり、踊りがあり。いろんな職人さんが私にものづくり、そしてその精神を芯の部分から教えてくれた。うちは裕福とは言えなかったのですが、そういう文化が生活にあり、ものづくりのスピリッツは自然に私の心身にしみ込んでいきました」

 今は「マルチタスク」「多様性」などという言葉で、楽しんでできる人はいくつ仕事をしても奨励される時代になりました。

「ここまで生きて、ようやく生きやすくなりましたね。ものづくりにとって、私がもう一つ職人さん達に教えられたことは『あきらめない』ということなんです」
 構えないけど、あきらめない。かのさんの生きるスタンスは変わっていないということでしょう。そんな彼女が、酒造りを始めたきっかけは、どこにあったのでしょうか。

かの香織さん

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