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今かぐわしき人々 第157回
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    第157回:片岡千壽さん(歌舞伎俳優)

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 普段はスーツの似合う爽やかなルックスの片岡千壽さん。ひと度、女形となると、たおやかに女の性(さが)を演じて人気です。2月の歌舞伎座では片岡仁左衛門一世一代の『霊験亀山鉾』に出演し、3月は一部の『花の御所始末』の北野の方、三部の『廓文章 吉田屋』の仲居役。ノリに乗っている千壽さんは、上方の歌舞伎の香りを醸す俳優として、注目されています。

《1》2月の千秋楽と同時に3月の『花の御所始末』のお稽古へ

 1月の新橋演舞場『SANEMORI』では、このスペシャルインタビューにも登場してくださった市川右若さんと、新春らしい華やかないでたちの腰元を演じておられた片岡千壽さん。今回は、右若さんのご紹介で、フレグラボに登場していただけることに。

「右若さんは沢瀉屋。私は松嶋屋で、家としての接点はなかったのですが、10年以上前に亀治郎さんが4代目市川猿之助を襲名されるとき、私の師匠の秀太郎も出ていまして。そのとき、右若さんにお会いして、同い年だし、なんだか面白い人だな、と急激に仲良くなりました」

 タイプは違うものの、どちらも女形として人気の二人。ところが、松嶋屋と言われる片岡の家では、立役も女形も、両方修行していたそう。

「関西、つまり上方の役者は、両方やらねばというのがあるのです。私は師匠が女形ですので自然と女形になっていました。両方覚えるのは大変ですし、どちらかに比重を置いていくことになります。でもね、たまにはけったいな立役もやりますよ(笑)。イヌ、河童、狐、狸もやりましたね」

 千壽さんが河童の役をしたのは、なんと2016年のラスベガスでの舞台。10代目松本幸四郎さんがまだ市川染五郎さんだった時代に、MGMホテルでプロデュースした『獅子王SHI-SHI-O』でした。

「河童が生まれ変わって蟹になるんですけど。英語のラップで日本舞踊を踊るという斬新な芝居でした。海外の方もたくさん観に来られていて、喜んでおられましたよ」

 10代目幸四郎さんにも信頼の厚い千壽さん。2020年の京都南座顔見世興行の『廓文章 吉田屋』では、秀太郎さんのはまり役だった廓の女将・おきさの役を演じました。

「もちろん、主演の藤屋伊左衛門は幸四郎さんで、うちの師匠にお稽古もつけて頂きました。幸四郎さんとは『雁のたより』という上方の演目で恋人の司(つかさ)役をさせてもらったこともあり、そのご縁で可愛がっていただいています。おきさの役を演じると決まったとき、師匠は泣いて喜んでくださいました」

 いよいよ3月は、その幸四郎さんが主演される『花の御所始末』です。
「『リチャード3世』をもとにして40年前にできたお芝居なんです。幸四郎さんのお父様である白鸚さんに当て書きされたもので、映像が残っていないんです。写真と音源しかない。2月の舞台が終わって、3~4日の稽古で仕上げなくてはならないので、ほぼ新作ですよね。心が晴れるようなストーリーではなく、ドロドロしています。私はあっちへついたり、こっちへついたりする、やらしい女の役です(笑)」

 3〜4日で、セリフも動きも完成させる。歌舞伎俳優というのは、なんと超人的なクリエイターなのでしょう。

片岡千壽さん

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