「天真爛漫すぎる書道アーティスト」という肩書きがぴったりの、原愛梨さん。
2歳からの生粋の書道育ちの彼女は、7年前に書と絵を組み合わせる作品を始め、これが海外でも大人気になっています。一見、アイドルのようなルックスからは想像もつかない奥行きのあるエネルギッシュな作品を生み出す彼女を、「礎 書道アーティスト 原愛梨展」が開催されていた東京・神田明神文化交流館に訪ねました。
天からやってきた梟の翼は鳳凰のように大きく広げられ、その羽の中には「無病息災」「商売繁盛」「福徳財宝」「長命長寿」といったおめでたい文字が。
「礎」書道アーティスト 原愛梨展のメインテーマとなった『七翼福神図』は、そのエネルギッシュな翼で訪れる人を包み込んでいました。
「梟をメインビジュアルにしたのは、みんなに福を届けたかったから。七福神と掛け合わせて、7つの翼を持つ梟にしたんです。見上げると、天、がある。天はみんなを守ってくれている、という想いを込めています」
取り上げているモチーフはかなり広がりがあります。でも龍や髑髏など迫力のあるものであっても、原愛梨さんの底にある愛情がこもっているせいか、どこかにやさしさや温もりを感じます。
今回の「礎」というテーマは、日本文化のもとになっているもの、という意味。
「日本の文化や生活は、神や妖怪が基になっているものも多く、まさに礎を築いた存在なんです。
私はそんな神や妖怪に敬意を表し、タイトルを「礎」に決めました。神も妖怪も、見えないけれどいつも私達の側にいる存在なんです」
妖怪やあやかしの存在にまで想いをいたすところが、彼女がアーティストたる所以なのかもしれません。
「モチーフを決めるときは、どういうメッセージを伝えたいか、をいつも考えます」
まず絵が目に入り、じっくりと見つめているうちに、文字が浮かび上がる。観る人の心の奥で起こるその流れが、彼女のメッセージをより明確にするのです。