今回の作品たちは、絵の中に文字が潜んでいる、原さん独特のもの。もともと書一筋だった彼女が、この新たなジャンルに気づいたのは、7年前のことだったそうです。
「シンガポールで路上パフォーマンスをしたときのことでした。見てくれていた現地の人たちが『なんて書いてあるの』と尋ねてきたのです。私は漢字の意味が伝わらないもどかしさを感じました。もっと言葉が通じなくても心に通じる作品にならないか。書に興味がない人にも伝わる作品はできないか。もともと、私は絵を描くことも好きだったので、好きなものどうしを掛け合わせてみたらと思いついたのです。これを思いついたことで、世界で見てもらえるようになりました」
書と絵の合体が、思わぬ世界へのパスポートとなったのです。
原さんは、先ごろ、ニューヨークでの初個展も成功させました。art exspo NEW YORKで「BSET SOLO EXHIBITOR2023」に選ばれたのです。
「初めての海外個展でしたので、どう評価されるか、ドキドキしました。英語バージョン、漢字バージョンをもっていきました。文字が潜んでいることがわかると『amazing!』と感動してくださる方が多く、とても嬉しかったです。向こうの方は、まず説明を読まずに、自分の目で好きか嫌いか、を判断してもらえるところが印象的でした。『もっと世界中で、たくさん人が集まるところに展示するべきだ』『君の作品は世界中の誰もに愛されるよ』と、励ましの言葉もたくさんいただきました。説明しなくても絵が伝えてくれた部分は大きいので、目標を一つクリアできたと感じています」。