2008年に全米ABCのゲーム番組『I Survived A Japanese Game Show』の日本人初のゴールデンタイムの司会者に抜擢され、2010年のアカデミー賞授賞式では、外国人レポーターとして多くのハリウッドスターの足を止めさせた神田瀧夢。
現在、NET FLIXで見られるジョナ・ヒルとエマ・ストーン主演の『MANIAC』では、舞台となる薬品会社のドクター・ムラモトを演じています。
1999年10月に単身ニューヨークへ渡り、ハリウッド俳優として仕事を得るようになった今日まで、常にチャレンジを続けている彼の帰国中の素顔を追いました。
NET FLIXの配信限定ドラマ『MANIAC』は、『007 Tomorrow never die』などの作品で有名なキャリー・フクナガ監督による意欲作。『LaLaLand』で、エマ・ストーンがオスカーをとった年に撮影されました。
物語は新薬の治験をする病院が舞台。その新薬を飲めば、幻想の世界に没入し、どんな精神的な病気も治るというのですが。なかなか怪しい設定です。
「僕はドクター・ムラモトという日系人医師の役で、1、2、3、5話に出ています。難解な内容で、大好きになるか大嫌いになるかでしょうね」
ドクター・ムラモトは、どこか日本人的なメンタリティを感じさせつつ、コミカルな要素もあるキャラクター。
個性派ハリウッド俳優が集結している現場は300人ぐらいのスタッフがいるのだとか。
「それでね、その300人が、もちろん次の仕事につなげるべく、フクナガ監督と話したいわけ。
僕も必死ですよ。それで、毎日、ご飯食べに行きませんか、飲みに行きましょうよ、と言い続けた。遠慮したって1回きりの人生。言い続けて、言い続けて撮影が終わる本当に少し前に、二人きりでメシに行きました。しつこくせなあかん。怒られるまでやれ。怒られても、やれ、やね」
神田さんが監督に聞きたかったのは「なぜ僕を選んだのか」。
「オーディションで選ばれたみんながそれを聞きたいと思っている。でも、暗黙の了解で聞いちゃいけないみたいになっている。でも僕は聞いたよ。そうしたら、少し黙って、直感、と言われた。演技が上手いとか、声がいいとか、ルックスがいいとかじゃない。直感。ええーっ、じゃ俳優は何を努力すればいいのか。それで思いました。他人の直感を動かせるのは、自分がどう生きてきたかしかない、と」
彼は今、ロサンゼルスに住みながら、オーディションがあればどこへでも行くと言います。
「地球が拠点。だけどね、コロナ禍で、オーディションもビデオやリモートになりましたから、本当にどこに住んでもいいのかもしれない。だけど、僕はロスが好き。みんなニコニコしているし、天気もいいし」
オーディションに合格し、撮影をしてもカットされるということもこれまでに何度か経験しました。しかし、めげないのだと言います。
「心が折れる。もうやめる。齢やから。あきらめる。そんな言葉は僕の脳ミソにはないね!」。