ブロードウェイミュージカルの大作『アナスタシア』。いよいよ9月12日から東京・東急シアターオーブで、10月19日からは大阪・梅田芸術劇場メインホールで公演が始まります。ヒロイン・アーニャを演じるのは、葵わかなさん。(木下晴香さんとダブルキャスト)。
葵さんといえば、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』でのヒロインの和服姿が印象的でしたが、今回は20世紀初頭のロシアの洋装。舞台で演じることの情熱をどう表現していくのか。また心身を健やかにキープする日々について、語っていただきました。
2020年。日本でのミュージカル『アナスタシア』初演でも、葵わかなさんはヒロインのアーニャを演じていました。ところが初日が大変な事態に。
「初日が近づき気持ちが高まっていたところ、コロナの影響で東京都から移動制限が出てしまったタイミングでもありました。稽古はできていたのですが、舞台はお客様を十分には呼ぶことができない状況となってしまいました。今回はこれから稽古に入りますが、3年も経っているし、細かな動きや段取りは忘れてしまっている部分もあるので、稽古をしながら思い出します!」
映像ではNHKの朝ドラを始め、たびたび主役を演じ切っている葵さん。しかし映像と舞台はまるで違うと言います。
「映像はシーン毎に撮っていきますが、舞台は始まったら終わるまで物語が止まらないので難しいけれど、舞台も好きです。歌も、もともと子どもの頃から習っていました」
10歳頃から芸能界に入った葵さん。いろんな可能性を秘めていたのでしょう。
「子どもの頃からやっていたのは、ポップスのレッスンでした。定期的に続けていましたが、2019年に上演の『ロミオと&ジュリエット』の出演が決まったとき、ポップスからミュージカルのボイストレーニングにチェンジしました。ミュージカルは発声も発音もまるで違います。歌がお芝居に近づく感じが面白いんです」
ミュージカルのボイトレの先生は、葵さんに素敵なアドバイスをくれました。
「先生が『イントロや前奏は、役の心から流れて来ていると思いなさい』と。舞台に立っている自分の心から、歌が始まり、流れてくる、ということ。音楽と役の心情をリンクさせていく。たとえば、20世紀初頭のロシアにいるアーニャと私の時空はすごく離れているけれど、その歌で近くに寄ることができるような気がするんです」
なるほど、イントロが自分の心から流れてくれば「突然歌い出す」というふうにはならず、セリフと歌が一体化するということなのでしょう。