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    第175回:かつしかトリオさん(フュージョン・ユニット)

《4》世界各地で出会った香り。また3人で新たな旅立ちを

 20代の頃、世界的に人気を誇ったカシオペアで、3人は世界各国へツアーにも行きました。櫻井さんはその1982年のブラジル一人旅で、こんな体験をしました。

「初めてブラジルの空港に降り立ったとき、強烈に甘いアルコールの香りがしたんです。というのも、そのアルコールで車が走っていたから。当時のブラジルはガソリン車ではなく、アルコール車だったんです。ピンガ、というアルコール度数80度くらいの酒で。その香りに、異国情緒を感じたんですが、最近はガソリン車になってしまいましたからね」(櫻井)

 なんとそのピンガを、向こうの人たちに「せーの」で飲まされて気を失いかけたこともあったそう。
 向谷さんはインドネシアの空港に香りの思い出が。

「東南アジアはどこの国も独特の香りがあって。香港や台湾は食べ物の香りだけれど、インドネシアはガラムという煙草の香りだったね。80年代の強力なガラム。路上でも売っていたりしましたから」(向谷)

 二人とも強烈な香りの印象とともにその国を思い出すよう。残る神保さんはハワイのフレイバーコーヒーの香りが、今も大好きだとか。

「ハワイのフレイバーコーヒーが好きなんです。バニラマカデミアというのを必ず買って帰ってきます。家でドリップすると、とても幸せな気分になれるんですよ」(神保)

 「おしゃれすぎる!」という仲間のヤジにも負けず、淡々と語ってくれた神保さん。ある意味、会話も3人のコンビネーションがとても良いのです。
 その様子は、YouTubeチャンネルでも見ることができます。

「今の時代ならではというか、配信などで音楽制作を可視化できるのも面白いですよね。世界的にも発信、拡散していくことは以前よりやりやすい。かつしかトリオのことを国内外に向けてどんどん知ってもらって、またジャズフェスなどにもどんどん出ていきたいですね」(向谷)

 過去に積み重ねたものに戻るのではなく、それを実績として、新たな未来へ。かつしかトリオは「同窓会」ではないのです。

「同窓会みたいにはじまったけれど、作品作りに関しては、同じことをやるのではなく、どういう新しいものを作っていくか、ということなんですよね」(神保)

「アルバムのコンセプトを話し合ったとき、とにかく創作は楽しいな、と思えたんです。未来に向けて本気で、やっていこうと」(櫻井)

「この3人でいると、楽しい。僕らは今60代ですが、気持ちは20代になれる。それが何にもましていいんじゃないかな。やっている音楽に人間性に通じるものがあるんです」(向谷)

 再びの青春というより、これからの新しい青春へ。年齢を超えた生き生きしたエネルギーを感じる音は、国境も世代も超えて、人々を元気づけてくれそうです。

かつしかトリオさん

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かつしかトリオ公式サイト
https://www.katsushika-trio.com

YouTube公式チャンネル
https://www.youtube.com/@Katsushika-Trio

【ビルボードライブ横浜】(1日2回公演)
2023/12/14(木)
1stステージ 開場17:00 開演18:00/ 2ndステージ 開場20:00 開演21:00

[チケット情報]
サービスエリア¥7,900-
カジュアルエリア¥7,400-(1ドリンク付)
※ご飲食代は別途ご精算となります。
※別途指定料が必要となるお席がございます。

▼公演に関するお問い合わせ
ビルボードライブ横浜:0570-05-6565
〒231-0003 神奈川県横浜市中区北仲通5 丁目57 番地2 KITANAKA BRICK&WHITE 1F

公演ページ
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=14399&shop=4


取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1

撮影 萩庭桂太
1966年東京都生まれ。
広告、雑誌のカバーを中心にポートレートを得意とする。
写真集に浜崎あゆみの『URA AYU』(ワニブックス)、北乃きい『Free』(講談社)など。
公式ホームページ
https://keitahaginiwa.com


2023.10.4 written by 森綾
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