両親ともにオーケストラのヴァイオリン奏者という家庭に育ったヴァイオリニスト、髙木凜々子さん。子ども時代から数々のコンクールで賞を獲得し、東京藝術大学を卒業して2017年には第1回バルトーク国際音楽コンクールで2位に。その実力は黒澤楽器店から名器・ストラディバリウスを貸与されていることからも伺えます。実力と美貌を兼ね備えた期待の演奏家の素顔に迫ります。
実際にコンサートに行ったことがなくても、髙木凜々子のファンだという人はたくさんいます。それは彼女がコロナ禍から積極的にYouTube配信を続けているから。
「水曜、土曜の夜8時から毎週、演奏を配信しています。演奏の配信自体は2017年からやってはいましたが、当初はコンサートからのライブ録画でした。コロナ禍になって、YouTube用に収録したものを流すようになりました」
定期的に頻度高く配信を続けた彼女。その素直で伸びやかな音色に、たくさんの人が彼女を応援するようになりました。
「コロナ禍で私のことをYouTubeで知ったという方も多いかもしれません。視聴者層は、年齢が高めで、実際にコンサートには出かけづらいという方からのコメントもたくさんいただいています。もちろん、コンサートに来ていただけるのは嬉しいですが、そういう方々に音を届けられるのも、嬉しいことですね」
そう笑顔で話す髙木さん。なんとも愛くるしく、彼女の演奏する音色のようにスッと心に入ってきます。
年中、ホールでのコンサートにも多数出演。このインタビューが行われた数日後にはサントリーホールで開催された日本フィルハーモニー交響楽団の第401回名曲コンサートに出演。小林研一郎さんの指揮で「ツィゴイネルワイゼン」などを弾きました。11月14日には東京・トッパンホールで人気ピアニスト、エヴァン・ウォンとの共演も控えています。
自主公演ではどんな曲を演奏するか、どうやって決めているのでしょう。
「家族会議で選曲しています。だいたい、私がこんな曲をやりたい、あんな曲をやりたい、とまずリストにするんですね。そうすると父が『お客さんが聴きたいのはこっちじゃなくてこっちでしょう。この順番の方が盛り上がるよ』などと意見を言ってくれます。話がまとまらないと、母が最終的に採決してくれます。曲順は緩急をつけるように、季節感も考え、最後に盛り上がる曲でと。両親にはいろんな意味で今も助けられていますね」
お父様の髙木敏之さんは読売国際交響楽団所属のヴァイオリニスト。お母様の井上雅美さんも同楽団のヴァイオリニスト。この家族会議なら、熟練した二人の奏者の意見も加わり、百人力でしょう。