役柄の人物になりきるという体験は、歌では味わえないもの。なりきるために、ルックスも少し髪型で変えました。
「若いコしかやってはいけない前髪になっていましたね(笑)」
短めで、どこかあどけなさも引き出すような前髪。一途に想いをぶつける唯の瞳を強調していましたが。
「唯は本当に一途で、自分の感情をぶつける子。一途なだけじゃなくて、ずる賢くその境遇を利用するようなところもある。私自身は、そんなに人に対して熱くなったこともないし、感情があふれ出すとか声を荒げるとかないし。自分の知らない感情を表現しなくちゃいけない。そもそも自分にはない感情なので、そこはすごくギャップがありました。ただ全く違うからこそ、楽しめたのかもしれません。唯とは共感できないけれど、人に対してこんなに熱量をもって接することができるのは、ある種うらやましいとも思いました」
演技でわからないこと、不安なことは監督とじっくり話しました。
「監督とは一番話しましたね。何か言葉をもらったというよりは、近くにいて、あたたかく接してくださった。それで私はリラックスできました。監督だけでなく、スタッフはあたたかい方がたくさんいらして、助けてもらいました」
藤吉さんが演技にどれくらい必死だったかは、櫻坂46での歌にも込められているようです。
「ちょうど『アオハライド』を撮影しているときに『桜月』という曲を録音していて、うたっているときに唯の気持ちが蘇ってきて仕方がなかったですね」
確かに『桜月』は『アオハライド』のテーマになりそうな歌詞。ドラマと歌を合わせて聴くと、藤吉さんの気持ちがわかる気がします。