20年前に振り付けした『マツケンサンバⅡ』の人気が再燃。また2023年はK-popの人気グループJO1とのコラボレーションも話題になったり、初めての主演映画『Me?Xavier!』が公開されたり。年齢不詳のミラクルなダンスと存在感は真島茂樹さんならではのもの。『マツケンサンバⅡ』誕生の経緯から、踊りの神様に愛された半生を笑顔いっぱいで語ってくださいました。
老若男女が踊って歌って楽しめる『マツケンサンバⅡ』。フレグラボにも登場してくださった俳優・松平健さんがスパンコールの和服で腰を振って踊る姿は、観る人に大きな衝撃を与えました。
そもそも最初に振付けの依頼があったのは、松平さんの方からだったそうです。
「松平さんとは若い頃からよく遊んでいたんですね。彼はレビューが大好きで、日劇も宝塚歌劇もSKDも観に行くくらい。僕が日劇にいた頃、…日劇は春、夏、秋と踊りがあるんでですが、それを季節ごとに観に来てくださってね。1997年頃だったかな。国立劇場で日本舞踊の会があった後に、たまたま楽屋に来てくださって、そのまま夜飲みに行くことになったんです。その時『マツケンサンバという曲があるんだけれど』と、松平さんがカバンから音源を出してきてくださったのです。『これをマジーが日劇風に好きなように踊りをつくってほしい』と言われたんです」
カバンに音源が入っていたということは、松平さんはその時、もう真島さんに頼むつもりで京都にやってきたのでしょう。
その音源を聴いた真島さんは、その曲をすっかり気に入ってしまいました。
「宮川彬良先生の曲が素晴らしいでしょう。一番大事なのは音。音に触発されて体が動くのね。振りはほぼ1日でできてしまいましたよ。腰元ダンサーズが手にもつ”あや棒”も、普通は紅白と金色で、両橋に鈴と房がついているんですが、もっとチアガールみたいにキラキラの房をいっぱいつけて”サンバ棒”にしましょうとか」
松平さんの依頼から4日後には、もう築地の寺にある稽古場で指導していたという真島さん。
「女性の腰元ダンサーズは元宝塚歌劇のOGもいたりするから問題なかったの。ところが男性ダンサー達がもともとチャンバラをする人たちだったのよ。だからその宝塚OGたちがお寺の庭で、男性陣にマンツーマンで指導していましたね」
真島さんはよりゴージャスなショー仕立てになるよう、サンバの雰囲気を群舞で作り、松平さんの登場へと盛り上げていきました。
「松平さんはニコニコしながら『僕はまだ出ないの』とおっしゃるので『スターは後からよ』とお伝えしました。そして今度は不安げに『僕も腰を振るの?』とおっしゃるので『バンバン振ってもらいます』とお答えしました。すると嬉しいような心配なような、微妙な表情を浮かべておられましたね」
『マツケンサンバⅡ』はさまざまな松平さんの舞台のフィナーレとして登場するようになりました。
「おじさまの役者さん達も全員出るんだけど、やっているうちに『マジー、僕らも顔色がよく見える方がいいな』と、僕にチークを借りに来るようになりました(笑)」
こうして『マツケンサンバⅡ』は、お客様が熱烈に受け止めただけではなく、出演者全員のボルテージも上げていったのです。
「2004年8月に、神宮の花火大会に出てくれませんかというオファーが来たんです。そこで観客全員にも振り付け講座をしました。それは盛り上がりましたよ。翌日の新聞に大きく報じられて、3日後には初めてのテレビ出演。そこからの勢いがすごかった。10月に新宿コマ劇場で『暴れん坊将軍~唄って踊って八百八町』公演。お芝居なしでのサンバコンサートツアーもできたんですから」
間奏でキレの良い圧倒的なダンスを披露する真島さんの姿に「マジー」という歓声も響くようになっていきます。