ももいろクローバーZの高城れにさんが、初の舞台主演で座長を務める『最高の家出』。
三浦直之(ロロ)さんの書き下ろしによる奇想天外なストーリーが、観客までも迷宮に巻き込みそうなこの舞台に挑む高城さんの心境はいかに。稽古も佳境な時期に、その意気込みと30代をどう生きるか、語っていただきました。
『最高の家出』で、高城れにさんが演じるのは、結婚生活に疑問を感じ家出した立花箒(たちばな・ほうき)。住み込みの働き手を探しているという劇場を訪れるところから始まります。そこで与えられた仕事とは、舞台上にある模造街で、ある役を演じるという仕事。設定の不可解さはもちろん、登場人物の名前も箒とかアハハとか現実離れしていて、まず度肝を抜かれます。
高城さんも、脚本を初めて読んだときは驚きました。
「ぶっ飛んでいるな、と(笑)。まずは自分のなかで解釈しようとして、少しずつ、三浦さんが示したかったこと、大事にしている言葉がわかってきて、内容を理解しつつある感じです。また役者が演じることでわかりやすくなる部分もあると思います。最後のシーンで、ようやく腑に落ちるかも。
なので、2回観てもらいたいですね。セリフも役者どうしがキャッチボールをしているだけではない、一方的な発信や、まったく違う角度からの発言もあったりするので、会話として成立するより、全体を観ている人がこの世界をナチュラルに見られるというふうになるといいなと思います」
普通には収まらない内容で、かつ、初めての主演舞台。そして座長。高城さんはこんなふうに心を構えています。
「リーダーシップにはプレッシャーを感じるタイプではあるんです。主演で座長、と聞くと、キュッと身構えちゃう。でも、出演者の皆様は演劇の先輩だし、勉強させてもらうという気持ちです。座長という言葉にはあまりとらわれず、パフォーマンスで頑張りたいと思っています」
稽古期間もあと半分となり、気持ちはずいぶん和んできたようです。
「他の出演者が脚本の中でわからないところを聞いていたので、私も聞いてもいいんだ、と。最初は全部自分で考えなきゃいけないと思っていたんです。『三浦さん、ここ、どういう意味ですか』と質問できるようになりました。むしろ、わからないままにしちゃいけないんだと。この作品には、笑いもあり、大切なことを伝える言葉もあります。観る人にとっても、きっと生きていく上で得るものがある気がします」
不思議なことに、箒という主人公と、高城さんはリンクする部分もたくさんあるのだそうです。
「たとえばすごくリンクしているのは、空想が多いところ。勝手に空想の友達を作っちゃうとか。私も一人っ子で人見知り。友達と遊ぶこともなく、一人遊びが上手になり、架空の友達を想像したりしていたんですよ。反対に箒ちゃんには、私にない強さ、行動力があります。近いような、近しくないような。自分自身にもわからない自分がいるかもしれなくてドキドキする。そういう感情が愛おしいですね。私生活も『最高の家出』に染まっていて、母親と喋るときに箒ちゃんのような言葉が出てしまったり。友達から電話がかかってくると、劇中のセリフがナチュラルにピタッと来てしまったり」
高城さんの心を乗っ取ってしまっているかのような、舞台『最高の家出』。その深いテーマを観客に伝えたいと考えています。
「誰でも自分自身が存在する権利があって、自分らしさをもつ権利がある。自分って何?自分の居場所はどこ?と思っても、焦らずに見つけてほしいと思います。箒のように、関わる人たちに自分らしさを見つけてもらうのもいいと思うし。そういうことに悩んでいる人を安心させてあげられるような物語なんです。いろんな問題があるなかで、やりたかったけどやれなかったこと、それを誰かに託されたときに、どう叶えてあげられるか。そんなふうに託された気持ちに共感があっても良いなと思います」。