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今かぐわしき人々 第18回:松本俊明さん
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    第18回:松本俊明さん

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MISIAの「Everything」、JUJUの「この夜を止めてよ」など、たくさんのアーティストに多彩なジャンルの素晴らしい楽曲を提供し続けている松本俊明さん。最近はピアニストとして、自らが舞台に立つ活動にも注目が集まっています。ロンドンと日本を行き来しながら作家、演奏活動を続ける松本さんに、今までとこれから、そして音楽と香りの共通点などを伺いました。

《1》

 幼い頃、松本俊明さんが初めて音楽に触れたのは、親御さんの熱心な教育があってのことだったようです。3歳のとき、ピアノとバイオリンを同時に習い始めたのだとか。

「親は僕に習い事をいろいろやらせてくれたのです。絵とか英語、体操も習いましたね。なかでも続いたのがピアノだったのです。バイオリンも10年以上やっていましたが。それは先生の影響も大きかったと思いますね」

 当時の松本さんのピアノの先生は、テクニックもさることながら、子どもの個性を見極め、それを伸ばそうとしてくれる方でした。

「6~7歳のときに初めて作曲をしました。絵本を読んでそれをイメージしながら曲を作らせてもらいました。たとえば花が咲いているイメージでピアノを好きに弾いてみる。あるいは火がぼうぼうと燃え盛っているように弾いてみる。それを水で消すような音を弾いてみる、といったふうに。面白いでしょう? そういうふうに曲を作り始めて、学校に譜面を書いてもっていったら、作曲コンクールに応募されました」

 ところが、学校の音楽の先生はピアノの先生とは違うタイプの教育者。

「普通の子どもはトニックと呼ばれるドミソ、レファラのような和音をまず使うらしのですが、僕の場合は、ファのシャープを最初から使ったりしていたんですね。理論を教わる前にドミナント、サブドミナントといった和音の使い方を自然にやっていた。それを聞いた学校の先生に『そんな気持ち悪い音、生まれて初めて聞いた』と言われてショックを受けました」

 今の松本さんは、教育の大切さをそういう先生の言葉にあると感じています。

「絵もそうでね。お稽古に行くと、静物画を描くのに、僕はバナナを紫に塗ったり、ぶどうを黄色く塗ったりしていた。もちろん、僕の目にはちゃんとバナナは黄色に見えていたけれど、心の目、絵心で、そう描きたかったのです。すると先生が親に『色盲の検査をしたほうがいい』と言ったんです。それでもう、絵はやめてしまいました」

 自由に表現するということ。本当に美しいということの追求。松本さんは子ども時代から、そういう感性に優れていたのでしょう。

《2》

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 個性を伸ばしてくれる光のほうへと導かれて、大人になった松本さんは作曲家として活動するようになりました。本格派シンガーの曲だけでなく、アイドルのための歌、海外の俳優のための歌と、そのジャンルは多彩です。ある時期は「1オクターブの魔術師」という異名をとりました。

「『1オクターブの魔術師』ってどういう意味かというと、アイドル歌手の人は、歌たのめにふさわしい声が1オクターブくらいなんですね。もちろん、もっと出る人もたくさんいるんだけど、一番魅力的な音域で作ってあげるのがいいじゃないですか。でも一方で、狭い音域で作ると、楽曲としては盛り上がらない。これは絵の遠近法に似ています。低いところから高いところへ跳躍することで、楽曲に広がりが生まれるのです。だけど、そういう曲だと、よほど上手なシンガーでないと、音程が取りづらい。だから、まあ、転調しているように見せかけてしていないとか、いろんなテクニックを考えたのです」

 基本的にはモーツァルトやバッハの楽曲を分析して、それをアイドルのための曲に当てはめるというようなことをしたのだと言います。

「誰に教わったわけでもなく、仕事をしていくうちにそういう技術が身についたのですね。どんな声の人も、その声が魅力的に聞こえることが一番ですから」。

 MISIAとの出会いは衝撃的でした。

「彼女が18歳のときに出会ったのですが『どんな歌手になりたいですか』と言ったら『1日でも長く歌いたい』と言ったのです。すごい人だな、この人は歌っていくのだろうなと感じました。先日、安室奈美恵さんが引退を発表したときも『私は引退しません笑』というメッセージが来ていました。彼女は死ぬまで歌うのでしょう」

 やがてドラマ『やまとなでしこ』の主題歌として『Everything』が世の中に爆発的に受け入れられていきます。

「出会うことがないような人どうしが出会う。一番大切なことは愛だというMISIAのつけた歌詞も素晴らしかった。そして、大ヒットした理由は、ドラマのスタッフがこの曲を本当に愛してくれたことも大きかったと思います」

 何千という曲を作り続けている松本さんですが、そのことを大変だと思ったことはないと言います。

「アーティストというのは嫌な人はいないですから。ただみんな、純粋で孤独。だから、なんとかメロディでその人の良さを表現してあげたいと思う。その人のCDを聴いて、ライブに行って、声を徹底的に自分に入れる。そうしてどのパーツが魅力的かを分析して、その人が作っているかのように作る。その作業は『降りてくる』とかいうような大げさなものではなくて、アイススケートで練習していたら3回転ができるようになるのと同じなのです」。

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