Kバレエカンパニーのプリンシパルとして、また2021年から始動した『BALLET TheNewClassic』ではプロデューサーとしても新たなチャレンジをしているバレエダンサー、堀内將平さん。これまでのバレエ人生から新しいバレエの扉を開く『BALLET TheNewClassic』に至ったプロセスを語っていただきました。「バレエとはこういうもの」という常識を打ち破る静かな情熱が伝わってきます。
堀内將平さんの面持ちはどこか和な雰囲気も漂わせていますが、西洋のクラシック・バレエを始めたのは、10歳のとき。
「僕は子どもの頃から体が柔らかかったんです。その頃、家庭の事情もあり、家に1人で留守番させられないというのもあったようで、習い事をさせようと。最初は体操教室に通い始めたのですが、引っ越したりして遠くなってしまって。そこで、バレエの留学のエージェントをしている知人が『男の子で体が柔らかいなんて貴重だから、バレエはいいかもしれないよ』と勧めてくれたんです。うまくロシア人の先生に出会って、4年間日本で学び、そこから海外へ行きました」
留学したのは、ドイツのシュッツトガルトというところにある、名門、ジョン・クランコ・スクール。
「16歳でした。その前に、ロシア人の先生が『バレエをやるならロシア語を勉強しなさい』というので、14歳から8ヶ月間、ウズベキスタンに行きました。ロシア人の先生の知り合いの家にホームステイしたのですが。そこでピアノもロシア・メソッドも学ぶ必要があると。ただ反抗期だったから、ウズベキスタンはやっぱり嫌だと(笑)。その後、モナコにも3ヶ月行って、最終的にドイツへ行きました。念願叶ったんですが、先生もロシアン・スタイルの方が多くて、ロシア語しか話せない人もいたので、ウズベキスタンには行っておいてよかったです」
モナコからは何もかも一人でする生活。
「その後、ルーマニアにも住んでました。バレエはロシアに近づくほどクラシックの要素が強くなるんです。ドイツの後、ルーマニアで3年間、踊っていました。」
コンテンポラリーバレエとはどういったものなのでしょう。
「コンテンポラリーダンスは幅が広くて、いろいろなスタイルが存在します。でもコンテンポラリーバレエとなると、バレエの基礎がないとできないんです。バレエダンサーの肉体があってこそできる踊りですね。バレエの筋肉は体操と少し似ているんですが、しなやかで強い。幼少期から稽古を初めて、骨格から作り上げていくというか。
体の使い方、骨盤を立てて背筋を伸ばすとか、普通の生活では必要ないので」
堀内さんは今もバレエシューズのキャンバスの匂いを嗅いだり、バレエ衣装の店に入ると、そこに漂う香りに体を作っていた幼い頃を思い出すそうです。