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    第195回:堀内將平さん(K-BALLET TOKYO プリンシパル)

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《2》例えればオリンピック選手くらいのレベルの日本人バレエダンサーはたくさんいる

 美しく造形された肉体をもって、自由に踊り始める。そんな堀内さんは、2015年8月、Kバレエカンパニーにアーティストとして入団しました。

「その年、熊川哲也ディレクターが監督する舞台があって、そこに出させてもらったのがきっかけでした。そこから9年経ちましたね。日本に帰ってきたのは、身体的なコンプレックスというのもあったんですが、Kバレエで、表現力の重要性を教えてもらいました。Kバレエの良いところはエンタテインメント性もあることですよね。演出的にもたたみかけていくし、音楽も独自だし、お客さんを楽しませるというところです。おそらく初めて見てもらってもバレエの面白さ、芸術性を感じていただけると思いますね」

 堀内さんはKバレエカンバニーでも『ロミオとジュリエット』や先日上演された『ジゼル』、『カルメン』など、名だたる作品で主演を務めています。ここで一番得てきたことはなんだったのでしょう。

「僕自身、演技は苦手だと思っていたんです。ところが、熊川ディレクターがオリジナルで作ってくださった作品が『死霊の恋』といって、非常に演技力を必要とする演目だったんです。お客様に言葉がなくても伝わって感動したと言ってもらえて、よかったと思いました」

 ローラン・プティやフレデリック・アシュトンといったクラシックバレエの大家の振り付け作品も踊っている堀内さんは、世界中で活躍する日本人の存在もいつも気にしています。

「たとえば、パリのオペラ座のトップダンサーになると、作品にディオールが衣装提供し、スポンサーにシャネルがついて、ダンサー自身もパリコレのランウエイを歩くというような世界なんです。ロシアだと40歳で年金が出て日本でいう国民栄誉賞が贈られる。すごいステイタスなんですよ。そこにバレエダンサーとして肩を並べられる日本人はたくさんいます。でも日本に帰ってくると『バレエやってるんですね』って感じです。いやもう、オリンピックレベルの日本人バレエダンサーはたくさんいるのに。同じレベルなのになんで認められないのか、と考えました」

 もっと作品性を重んじて、文化を知るおとなが楽しめるバレエを作れないものか。コロナ禍で、堀内さんは世界で活躍する日本人バレエダンサーと、クリエイターたちに声をかけ始めました。
 そこで生まれたのが、『BALLET TheNewClassic』でした。

「主催者として僕と組んでくれたのが、写真家の井上由美子さんでした。彼女はVOGUEの撮影でバレエダンサーの撮影をしたとき、研ぎ澄まされた肉体が自分の方へ向かって跳んできて感動したそうで、そこからはバレエの写真家として活動しています。彼女の力で筋肉の線、体のラインが出るように舞台照明をつくりました。何もないホールに四角いステージを作って、ファッションショーのような会場を作ったんです」

 こうして舞台に立つバレエダンサーだけではなく、演奏家、衣装デザイナー、ヘアメイクと、クリエイターも一流の人たちが集まっていきました。

「公演自体は、いくつかの物語から見どころを抜粋したガラ公演。前回は、すべての衣装を同じデザイナーが、すべての音楽を一人の音楽家がアレンジし、統一したイメージをつくることができました。作品ごとに幕を下ろさず、暗転になったら次の音楽が演奏され、次のダンサーが出てくる。音楽、衣装、ヘアメイク、照明。すべてのクリエイターの作品が一つの舞台に集約されていきました」

 2021年のクラウドファンディングは751%を達成しました。当時の映像を見ると、出演者の「これをやりたかったんだ」という嬉しさと気迫が伝わってきます。

「海外で踊っている人たちはこういう舞台をやりたかったと言ってくれました。海外基準の演出をしてみたかったんです。正直、心身ともに疲れ果てましたが、やってよかった。とても嬉しかったですね」。

堀内將平さん

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