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今かぐわしき人々 第200回
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    第200回:林家たい平さん(落語家)

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今の若い人は落語が上手なんですよ。
だけどね、若々しさと元気さでは僕は勝てると思う。

 『笑点』のオレンジ色の着物の人、林家たい平さん。たい平さんの”たい”は太陽の”たい”かと思えるほど、ぱあっと明るい笑顔が印象的です。Frag-labのスペシャルインタビューの200回目を、その笑顔で飾っていただこうと、ご登場をお願いしました。

《1》家族の一体感みたいなものをつくるために無駄な時間が必要。関係性が『笑点』の魅力

 林家たい平さんが長寿テレビ番組『笑点』の正式なレギュラーメンバーになったのは、2006年。

「2004年に師匠の代打で出演したりしたので、ちょうど20年ですね。先日、高校生に『子どもの頃から笑点を見てます』と言われて『こん平の頃ですか』と聞いたら『いやもうたい平さんでした』と言われて。ちょっとびっくりしました。そうか、という感じですね」

 現在の『笑点』の大喜利は春風亭昇太さんが司会者、3月いっぱいで勇退される林家木久扇さん、三遊亭好楽さん、三遊亭小遊三さん、春風亭一之輔さん、桂宮治さん、そして座布団運びの山田隆夫さん。
 大喜利は無作為に進められているように見えて、実はそれぞれにお役目があり、それが徐々にその人のキャラクターにもなっていくという面白さがあります。

「最初は僕は一番若手でしたから、ちゃんとしたキャラクターがある師匠たちのなかで、僕には何があるわけでもなく。師匠こん平を引き継いで、元気さ、ふるさと愛、あとは若いので体を使って動き回る。答えの面白さよりもそれが居場所かなと思ってやっていました。今は20年経って、座る場所も真ん中になり、山と山の間に立っている高圧鉄塔のような役割で、司会者から宮治くんまでにちゃんと同じ電流を送る鉄塔のような役割の中継地点の存在かなと思っています。司会者を助けながら、おこがましいかもしれませんが、仲間を面白い方に引っ張っていく存在になれたらいいなあと。昔僕がやっていたことは宮治くんがやってくれているのでそこは任せています」

 司会者の昇太さんを何かといじるのも、たい平さんの役割。

「司会者を巻き込むのは、そうしないと、司会者は設問を出すだけになってしまいますからね。前任者の歌丸師匠は、ツッコミどころがいろいろありました。骨と皮だとか、いい意味で突っ込まれて、司会者と回答者が一つになれたんですね。昇太兄さんは、当初は独身キャラがツッコミの対象でしたが、結婚してさてどうしようかと。司会者の独断と偏見で座布団をもっていかれるという面白さは、水戸黄門の印籠ではないですが『そんなこと言ったら座布団を持ってかれちゃうよ。ほらー』みたいな面白さもあると思うんです。いい意味で司会者との関係性はとても大切。メンバーの中で一番長く仲良くさせてもらっているから、そこができるのは自分だなと思っています。歌丸師匠と円楽師匠じゃないけど、尊敬しあっているからこそ、何をいっても許される。観ている側にも、そこに仲の良さが見え隠れするんじゃないかと」

 日曜日の夕方。『笑点』の大喜利が始まると、何をしていても、休日のほっこり感を味わう人は多いのではないでしょうか。

「そうですね。あの大喜利で、昨今ほとんど聞かれなくなった”お茶の間”という空間が一瞬存在する。なんであんなふうに受けいれられるのかなあと自分なりに分析しました。日曜日のあの時間、近所のおじさんたちがわらわらやって来て、酒飲みながらくだらないことをわいわい言ってまた帰っていく。そういう家族みたいな親戚みたいな空気感をまとっている。邪魔なような邪魔にもならないような人たち。でも来ないと『あれ、じいさん、来ないね』という一抹の寂しさがある。それが『笑点』にとって大切なことで」

 そして、その独特の空気感は、勝手に生まれて来るものでもないようです。

「その空気感をつくるために、メンバーが無駄な時間をどれだけ一緒に過ごすか、なんです。それを一番わかっていたのが、亡くなった円楽師匠で。仕事が終わっておしまいじゃなくて『ちょっとこれから一杯行こうよ』とか。そういう親戚のおじさん感、家族の一体感みたいなものが醸し出されていくのかな。収録だけで『はい、さよなら』では、それは作れないと思うので。恋愛じゃないけど、無駄な時間が大切。関係性を築いていくからこその『笑点』なんですね」

 築かれていく関係性があってこそ。そういう意味では、木久扇さんの勇退は、寂しいものがあるのではないでしょうか。

「今、日本に残された終身雇用制度の最後の砦が『笑点』だと思っていたので。身が終わる前に退かれることは寂しい(笑)。100歳の木久扇師匠も観たいし、110歳の木久扇師匠もどんな風になるのか観たい。僕は『笑点はドキュメンタリー番組だ』と言い続けているのです。『おじさん、大丈夫かなあ』って心配したりね。家族なので。この記事が出る頃には新しいメンバーがいるとは思いますが、今日の段階では、黄色い人がいなくなってしまう、というのが想像できないですね。すごく大きな存在だったので」。

林家たい平さん

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