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今かぐわしき人々 第211回
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    第211回:春風亭一之輔さん(落語家)

    更新日:2024.7.8

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装わないようにしてるんです。
やる気がないわけじゃないんですよ

どことなく脱力感と諦念漂う雰囲気とは裏腹に、エネルギッシュに落語に情熱を注ぎ続ける春風亭一之輔さん。ラジオでもその魅力は伝わりますが、落語にかける想いは格別。小学校時代から落語に親しみ、21人抜きで真打昇進を果たしたレジェンドの横顔を追いました。

《1》小学4年。1分間スピーチで、人前でウケる喜びを覚えた

 千葉県野田市。春風亭一之輔さんは、両親とお姉さまが3人という家庭に生まれました。

「近所に80を過ぎた祖母もいました。普通の田舎ですよ。生活レベルは中の下でした。下の上くらいか(笑)。そこそこ貧乏だったのかもしれないと、最近、わかりました。母親が内職をしていたという記憶があります。上に姉が3人いますし、学費が大変だったんじゃないかな。でも、それがちょうど良かった気がするんです」

 ほどほどの生活レベル。それは、落語の庶民的な空気感と合い通じるからかもしれません。

「いまだに自分はお金も遣わないし、欲しいものもない。物欲がないんです。着るものもなんでもいいし。ラジオでゲストが持ってきたプロモーション用のTシャツとか、お客さんがくれたズボンとか。あ、洋服屋さんがいるんです、お客さんで。『つくったんで、着てください』って。バッグももらい物のトートバッグ」

 その気負いのなさが、聴く人が疲れない彼のトークにつながっているのかもしれません。
 原っぱで遊ぶのが楽しくて仕方ない子どもだった一之輔少年が、人前で喋ることを覚えたのは、小学4年生ごろのこと。

「クラスで、朝の会と帰りの会という、順繰りに人前でおしゃべりをする時間があったんです。1分間のスピーチで、大したことは言ってません。おならがブー、臭い、とか、そういう話じゃないですか(笑)。子どもの匂いの感覚って、最初は臭い、が好きでしょ。流し忘れたトイレを見に行くとか。誰が流すんだ、ともめたりしてね。とにかく、そういう場でウケると嬉しい。その喜びはそこで知ったかもしれません。でも、基本的におとなしい子でした。今もおとなしいですけど」

 ウケる喜びはじわじわと染み込んでいたようです。一之輔少年は正課クラブを決める段に、落語クラブを選びました。

「私ならではの肌感覚で、人が入らないようなのがいいなあとも思ったんです。たった5人の部でした。最初は『寿限無』を覚えて、大喜利もやりました。6年生を送る会では全校生徒の前で『弥次郎』をやりました。これが人生初高座だった」

 その後、中学ではバスケットボール部、高校ではラグビー部と体育会系の人になりますが、高2のとき、再び、落語に戻ってくることになりました。
「向いていなかったラグビーを辞めて、ぽっかり時間が空きました。ぎこちないフリータイムでしたね。部活以外のことをしたことがない放課後が始まったんです。暇すぎると疲れます。でもその自由にもだんだんと慣れました。ある土曜日の午後、学校からの帰り道に、スポーツバッグを一つぶら下げて、詰襟の学生服のまま、上り電車に乗って浅草へ行ったんです」。

春風亭一之輔さん

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