SNSの総登録数は60万人以上、YouTubeの総再生回数は1億回以上。ポップスやカバー曲をメインに、色彩を感じる情感のある演奏で聴く人を引き込んでいく、松尾優さん。現代のシンデレラ・ストーリーとも言えるデビューのいきさつや、目の前のことにひたすら一生懸命に、自分を信じて生きてきたこれまでのことをまっすぐに語っていただきました。
可愛さと人懐っこさ。松尾優さんはピアノを弾かなくても、なんとなく人に愛されるだろうなという印象をもつ人。
大学時代は京都で、教育学部の音楽教育学科というクラスにいたそうです。
「音楽の先生になりたい人が集まるクラスでした。音大ほどではないんですが実技もありつつ、普通の勉強もありつつという。家から通える距離であることと、もうピアノをバリバリやるのは今はちょっといいかな、と思っていたから、ちょうどいい感じだったんです」
他の生徒たちと同じように、彼女も教職免許をとり、中学高校で教えられることに。実際、卒業後に1年だけ非常勤教師として働きました。
「大阪市内の中学校で、先生をしました。楽しかったですよ。生徒たちは歳も近いし、面白いととても仲良くしてくれました。先生らしく真面目で地味にいこうとか思わなかったし、見た目も立ち振る舞いもわりとこのままで(笑)。もうすでにシンガーソングライターとしても活動していたので、自分の曲をみんなが合唱してくれたりもしました。合唱のために、元々メロディーラインしかなかった曲にアルトや男声パートも付け加えて作りました。実際に合唱向きの歌だったし『音楽の教科書の曲おもろないから、先生の歌、ええやん!』と楽しんでくれました。かなり独自の授業をやっていました」
しかし一方で、職員室のなかでは、先生らしくないルックスの松尾さんは浮くことに。
「他の先生たちは私のことを良く思わなかった人も多かったと思います。だけど、非常勤だったから、はじめから1年間限定とわかっていたので、自分のやり方で好きなようにやろうって思っていました。子供たちと校長先生とは仲良かったです。(笑)」
きっと生徒たちはその思い出を今も大切にしていることでしょう。彼女は学校を辞めた後、シンガーソングライターとして弾き語りでライブハウスで歌いつづけました。