1990年、「ユナイテッド・フューチャー・オーガニゼイション」(U.F.O)を結成し、日本でのクラブ・シーンから世界の舞台で活躍した松浦俊夫さん。2002年に独立し、世界中のクラブやフェスティバルでDJを続けながら、ここ数年はブルーノートレーベルで発売となった異色のジャズユニット「HEX 」 のプロデュースでも話題になりました。今年は3月に日本、4月にヨーロッパで新プロジェクト「TOSHIO MATSUURA GROUP 」でアルバム『LOVEPLAYDANCE』を発売し、さらなるムーブメントを巻き起こそうとしています。
去年、音楽業界に入って30周年を迎えた松浦俊夫さん。当時と今を客観的にこう分析しています。
「30年前と今の音楽業界は、違う世界になったかのように変わりました。それは、カルチャー全体にも言えることかもしれません。バブル時代と言われた当時は、街にも人にもエネルギーがあふれていた。そのエネルギーは消えてしまったわけではないと思うのです。人のエネルギーはあってしかるべきもの。そして、時代が変わってもちゃんと人が繋いでいくべきものだと思う。欧米の音楽業界に比べ、日本ではそのバトンが渡されきっていない気がする」
そう危機感を抱いた松浦さんが、今回のアルバムでやりたかったことは、今、最前線にいるミュージシャンたちと自身がこの30年間に影響を受けた音楽を振り返ることでした。
「今の人たちに新しい楽曲として過去の良い曲を知ってもらいたい。そこがスタートでした。録音はロンドンで4日間で行いました。現地の活きのいいミュージシャンと一緒にやれたことはとても刺激になりました。」
なぜロンドンなのか。世界中の音楽にアンテナを張りながら、そこでの録音に踏み切った理由は松浦さん独自の勘のようなもの。
「ここ数年、音楽シーンの中心はロスのような時期がありましたが、昨年あたりからロンドンに戻ってきた気がしています。去年あたりから現地でのうねりを感じていましたが、今年に入ってそれが日本にも伝わってきて、さらにロンドンが熱くなった印象です」。