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今かぐわしき人々 第32回
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    第32回:曽我廼家八十吉さん

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日本の喜劇王と言われる藤山寛美の愛弟子で、現在の松竹新喜劇を支える役者として活躍を続ける曽我廼家八十吉さん。今年は松竹新喜劇70周年記念の演目『人生双六』で味わいのある演技を披露しています。八十吉さんに松竹新喜劇の魅力、また藤山寛美さんの記憶などを語っていただきました。

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曽我廼家八十吉さんが松竹新喜劇に入ったのは42年前。20歳でその世界に飛び込んだのには、どんな経緯があったのでしょうか。

「もともと丹後半島の育ちで、うちが映画館をやっていたのです。名画がかかったり、大衆演劇の一座がやってきたりするのを、小さい頃から観ていました。その影響もあってか、高校時代には映像の役者になりたいと思うようになっていました。卒業して、上京しようとしたとき、兄が先に大阪にいたので途中下車したのです。そこでツテを頼っていったら、松竹新喜劇に入れることになりまして。とりあえず、3年は楽屋で勉強してみようかと」

3年のはずが今や42年。どこで舞台に骨を埋める気持ちになられたのでしょう。

「節目は5年目、12年目あたりだったでしょうか。まず一番好きな芝居だったのが松竹新喜劇の十八番のひとつである『花ざくろ』。植木屋をしているぼんやりした男と、遊びまわる妻の話です。妻が他の男に走っても許していた男は、親方からもアホかと見限られそうになる。それでも妻を見捨てられない。ところがある日、その妻が飼っていたミツバチを殺してしまうのです。生活を支えてくれるミツバチを殺生するなんてと、初めて男は怒るんですね。そこで女はやっと『あんた、男やってんな』と気づく。その悪女役をやった曽我廼家鶴蝶さんという人が本当に上手い役者でした。その芝居を見て、まず私は松竹新喜劇に惚れ込みました」

入団して1年ほどした頃、八十吉さんは藤山寛美さんの付き人になります。

「寛美さんに呼ばれて『もう遊ぶのはええやろ』と言われましてね。公演の間、ずっとそばにいました。楽屋に泊まられますしね、起きてらっしゃる間はずっといないといけないので、私が寝るのは朝の6時とか7時です。寛美さんは12時起きでいいけど、私は9時起きでしたから。今思えば、酒を飲まなかったから体がもっていたのかと思います。1週間経ったとき『ああ、オレ、1ヶ月で辞めるな』と思い、3ヶ月経ったときは『ああ、1年はもたないかもな』と思いましたが、そう思いながら5年経ちました」

そしてその5年経った頃には、八十吉さんは松竹新喜劇の魅力にとりつかれていたのだそうです。

曽我廼家八十吉さん

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