映像でも活躍しつつ「舞台が大好き」と、そのくりくりした瞳を輝かせる熊谷真実さん。今年5月に開催されていた日本香堂のご愛用者謝恩観劇ご招待会の『熊谷真実一座旗揚げ公演』も大盛況でした。この夏はまた2本の舞台に立て続けに主演する熊谷さんに、座長としての心意気、香りとのご縁について伺いました。
愛くるしさと清潔感が、若い頃から変わることがない熊谷真実さん。
「来年還暦なんですよぉ」
その言葉に、その場にいた全員が「見えない!」と口を揃えたほど、若々しい表情です。
今年5月に開催されていた日本香堂のご愛用者謝恩観劇ご招待会『熊谷真実一座 旗揚げ公演』は1ヶ月に渡る全国ツアーでしたが、元気にまっとうされた様子。
「今年は1部が音無紀美子さんの『歌声喫茶』を舞台に再現した歌謡ショー。小松政夫さんがゲストで訪れたり、私も歌手役で歌ったり。2部は『煙が目にしみる』という現代劇で、私はおばあちゃんになりました。3部は人気作家の岡本さとる先生が書き下ろしてくださった『おくまと鉄之助』という時代劇。盛りだくさんでしょう? お客様の反応が手にとるように伝わってきて、どの場所へ行っても喜んでもらいました。まだツアーの最中に早くもお手紙をいただいたり。素晴らしい座組で、皆さんに支えてもらって本当に楽しかったです」
鹿児島から北上し、静岡まで行って最後は大阪という旅の一座。体力的にはかなり大変そうですが。
「わいわい言いながら、芝居が終わってすぐに撤収して1時間以内にはバスに乗って次の場所へ移動しています。衣裳の片付けなど、スタッフさんは本当に大変。一晩泊まって、またお芝居。でもバスにはビールやお弁当を用意してくださっていて、すごく和む空間になっているのです。最後の打ち上げもすごく盛り上がります。楽しいですよ」
4年前に初座長を務めた熊谷さん。座長としての心意気も確かなものになってきました。
「これまでのお芝居では、主役の方がいて相手役、という立ち位置が多かったのですが、そのときは主役の方が素敵に見えるようにと振舞ってきました。主役がよく見えれば、相手役の私もよく見えるからです。座長という名前をもらってからは、どの役の方もいきいきとして見えることが大事なのではないかと思っています。みんなが輝いていたら、私も嬉しくて輝けますから」
座組全員の存在を大事に思う熊谷さんの一座があたたかい雰囲気に包まれることは想像がつきます。休演日にもこんなことがありました。
「休演日は自由行動ではあるのですが、四国の香川に行ったとき、私が言いだして希望者で金比羅様詣でをしようとしたのです。結局、みんなで行くことになり、20人ぐらいになったのかな。ところが私が初めての休演日で疲れてしまっていて。するとみんなが様子を察してくれて『座長は休んでいてください』ということになりました。本当に申し訳なくてね。でも、みんなから送られてきた写真が、私がいなくても楽しそうだったのです。ちゃんと仲間感があふれていて。それが私も本当に嬉しかったですね」。