LIVING PHOTO(リビングフォト)、という言葉を聞いたことがない人でも、ひょっとしたら彼女の写真をブログやSNSで見たことがあるかもしれません。
料理を作り、花をアレンジして写真を撮る。今でこそInstagram全盛の世の中で、そんなことをしている人はたくさんいますが、今道しげみさんはその先駆者的な女性。夫の赴任先のロンドンでフラワーアレンジメントやおもてなしのスタイルを習得、やがてそれを「撮ること」も含めて、何千人という女性に教える立場になりました。新型コロナ感染防止で世の中のライフスタイルが変わっても、今道さんのスタイルとおもてなしの心は支持され続けています。
主婦であることを楽しみ、家を楽しむことを客観的に見つめて、伝える。言葉では簡単に言えても、それができている人は案外少なく、だからこそ「サロネーゼ」などという言葉で多くの人に憧れられるのでしょう。
今道しげみさんは、大学卒業後CAを3年経て、ご主人の転勤でロンドンへ。その後、香港でも暮らしました。彼女自身、その間に2人の息子さんを授かっていますが、ロンドンでは、小さな子どもをもつママたちと預かりあいっこをしながら、フラワーアレンジメントの教室に通いました。
「3ヶ月ぐらい通いました。私は花を選ぶのもとても楽しくて、教室で学んだ後、復習を兼ねて習ったことをまたママ友たちに教え始めたのです」
明るくて親切な今道さんの教室はあっという間に大人気に。今道さんは、この間、お花だけではなく、海外での出産経験を日本語にして出版するなど、周りの人に役立つことを実践してきました。
「せっかくきれいにお花をセッティングしたら、写真を撮りたくなるでしょう。ロンドンから一度帰国し、今度は香港に渡るまでに、一眼レフのフィルム・カメラを手に入れて独学で撮っていたのですが、香港から帰国したとき、夫がデジタルの一眼レフのカメラをプレゼントしてくれたのです」
デジタルならフィルム代を気にする必要もなく、大量に撮れるし、その場でチェックもできます。今道さんは「これならまた周りの人たちに教えられる」と思ったのだそう。
「まずはブログを立ち上げて、自分の写真を載せることから始めました。料理を教えてほしいという人もいたり、お花を教えてほしいという人もいたり。それはおもてなしの心を伝えるということでもあったのですね」
こうして2005年に「LIVING PHOTO」はスタートしました。遠くは北海道や九州から、「素敵なおもてなしのできる主婦になりたい」人たちが彼女に憧れて集まるようになったのです。