明石家さんまさんが司会する『ホンマでっかTV』を始め、多くのテレビ番組、雑誌などのメディアで、人の心にまつわるさまざまな問題にわかりやすい答えをくれる心理学者、植木理恵さん。コロナ禍で自殺者が増える昨今、どうしたら健やかな心で生きていけるのか、自らの体験も踏まえて強く生きる秘訣を教えていただきます。
目の前にいる人をふわりと包み込むような雰囲気を漂わせている植木理恵さん。
実は筆者の著書『マルイチ〜バツイチでキレイになった21人のハッピー・ストーリー』や『夫婦別寝の時代』で、植木さんに取材をさせていただいていました。わかりやすく、とりあえず動けそうな解決策をくださる先生として、長きにわたって活躍されています。
しかし先生はなぜ、まず臨床心理士としての道を選ばれたのでしょうか。
「私自身、メンタルが弱かったからです。例えば中学生時代、テストの時に1番目の問題が解けなければ2番目に進めず、気を失ってしまうような子だったのです。最初からちゃんと解くというこだわりが強くて、ダメなら次に進むということができない。今思えば、パニック症候群だったのでしょう」
植木さんは中学、高校、大学と、その自分のメンタリティに悩むことになりました。
「よく気絶するので、中学生の頃はてんかんと間違えられたこともありました。何かをするときに、時間を測られるとそうなるんです。焦りがすごかった。そのうちそれを気絶タイムと自分で名付けたりして。年齢を重ねたら治るのか、うつ病になるのかという怖れもありました」
心配した両親は、彼女をあちこちの病院に連れて行きました。
「あるとき、九州でいちばん権威のある先生のところへ連れて行かれたのですが、その先生がいろいろ調べた挙句『おかあさん、お嬢さんには紅茶にジャムを入れて飲んでから、学校へ行くようにしてあげてください』とおっしゃった。こんなに調べてそれ、と、びっくりしましたよ(笑)。もっと内なるプレッシャーとか、自己嫌悪とか、聴いて欲しかった。『自分の殻を破れ』と言われても、その方法がわからないのですから。そのとき、医療ではリカバリーできないことがあるのだとわかったのです。人から傷つけられたことは、人しか癒せない。だから、この道を選ぼうと」。