《3》
「… で、タミーはどうなの」
麻貴が突っ込むと、多美子はこの年下の女子たちに自分の恋をどう説明したらいいのか、少し悩んだ。ここに辿り着くまでに、こんな答えは用意していたつもりだったのだけれど。「気になる人が現れた。でも、仕事絡みだから身動きできない」。
多美子の言葉はこう発せられた。
「好きな人ができたの。すっごく素敵。久しぶりにドキドキしてるわ」
「へーえ。多美子さんが好きになる人って、どんな人なんだろう」
「IT関連の会社の社長でね。元ラガーマンなんだけど、ウィングだったらしいから、適度な細マッチョ。今はルックス的にはちょっとアーティストっぽい、かな」
「もちろん、アプローチしてますよね」
多美子はまたシャンパンをひと口飲んだ。
「もちろん」
「なんかすごくかっこいいデートしそう、タミーさんとその人」
いつになく興奮気味に有紗が言うと、未知が感心したように言った。
「何歳になっても恋愛ってあるんですねえ」
「…」
多美子は眉をしかめて髪をかきあげた。その様子に麻貴と有紗が目くばせして大笑いした。