実際に国内外の営業責任者として日本だけでなく世界を飛び回る幸祐さん。一方の哲平さんは今、ECを中心としたビジネスを世界規模に広げています。
「なんでだかわからないのですが、アメリカから風呂の蓋の注文が来るんです(笑)。何に使うのかと一度聞いてみたらバスタブの上にペットのゲージを置く時に使うのだと。需要とニーズはどこにあるのか、まだまだ未知ですね」
そんななか、売れているのがお香。哲平さんは言います。
「中国のオンラインショップではお香が本当に売れます。それも若年層に。アロマオイルもある程度売れますが、実際に火をつけて煙がたなびくお香が人気なのです。視覚と嗅覚で楽しめるからでしょうか。それで、僕がやりたいのは、世界のあちらこちらに散らばって住んでいる中国人にお香を売ることなのです」
世界中のあちらこちらに住んでいる中国人は最低1億人はいると言われているそうです。
「どの国に住んでも、中国の人は中国的ライフスタイルを崩さないというのも特徴なのです。だから中国で流行ることは、彼らにも絶対に流行ると思います」
哲平さんも幸祐さんも、対等に渡り合える中国語をしゃべることができるのが強み。
「僕が先に商談をしていて、兄に来てもらって同じように中国語をしゃべると、『なんだこの会社は!』と驚かれ、喜ばれるのは確かです。中国人の行く国についていって売りますよ!」。
妹の千英さんは、17歳の頃に血液がんと診断され、20代後半から本格的に闘病して骨髄移植を受け、元気になったサバイバー。
「社会的にはあまりいい情報ではないので、ずっと隠していました。でもこの病気は、輸血にせよ、骨髄移植にせよ、本当に会ったこともないたくさんの人に助けられる病気なのです。だから、何かお返しできるような仕事をしたいと思い、講演活動などもしています。会社での仕事は、生活雑貨を国内に売るEC会社への営業です。私は兄や弟のように中国語も話せないし、ニコニコしているだけです」
でも、そのニコニコの笑顔が、多くの海外からのお客様が来たとき、コミュニケーションをあたためているであろうことは確かです。千英さんは言います。
「本当に兄、弟ともあっという間にどんな国の方とも友達になってきます。この間は、哲平がパリでラグビーのアイルランド代表の人のお母さんと友達になってきて、先日のW杯のとき、四国にまで来てくださったのですよ」
そんなきょうだいのオープンマインドな楽しさが、ビジネスにも生かされているのでしょう。
幸祐さんは言います。
「人の記憶のなかに香りは強く残ります。たとえば、その国、その国にも独自の香りがあります。香りがイメージを作る。だから、香りはビジネスになるのです」
この人たちの手から世界の人たちに届けられる日本香堂のお香は、きっと素晴らしく幸せなイメージを湛えていることでしょう。
お香がどんな国のどんなシーンでたかれるのか、夢は広がるばかりです。
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【日本赤十字社】LOVE in Letters ~つなげあう いのちのバトン~のご紹介
「骨髄移植」を受けた姉・後藤千英さんと「骨髄提供」を行った
弟・後藤哲平さんに「献血」と「骨髄バンクドナー」についてお聞きしました。
ぜひご覧ください。
https://www.bs.jrc.or.jp/ktks/chiba/2019/05/love-in-letters.html
取材・文 森 綾
https://moriaya.jimdo.com/
大阪府生まれ。神戸女学院大学卒業。
スポニチ大阪文化部記者、FM802編成部を経てライターに。
92年以来、音楽誌、女性誌、新聞、ウエブなど幅広く著述、著名人のべ2000人以上のインタビュー歴をもつ。
最新著書は、「大阪のおばちゃんの人生が変わるすごい格言一〇〇」
撮影 上平庸文